トレーダー、米国債のロングポジション解消-利下げ幅予想が縮小
(ブルームバーグ): 債券トレーダーらは米国債の一段の上昇を見込むポジションを解消し始めている。米連邦準備制度理事会(FRB)が再び0.5ポイントの利下げを実施するとの観測が後退している。
4日には労働市場の健全性に関する最新情報を提供する9月の雇用統計が発表される。パウエルFRB議長は9月30日、米経済が堅調な足取りを維持していることから金利引き下げは「時間とともに」進むと発言した。
発言を受けて10年物米国債先物市場の建玉は9月6日以来の大幅減少となった。10年債利回りが3ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)ベーシスポイント上昇し、トレーダーがロングポジションの一部を解消したことが示された。
シティグループのストラテジスト、デービッド・ビーバー氏は、市場には「構造的なロングポジションと、最近のショートポジションやスティープナー」との間のせめぎ合いがあると述べた。
スワップ市場が11月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.5ポイント利下げ確率低下を織り込みつつあることから、利益確定の動きが生じている。現在、市場では約34bpの利下げが織り込まれており、0.5ポイント利下げ確率36%程度を意味する。1週間前には60%だった。
また、政策金利の動きを反映する担保付翌日物調達金利(SOFR)オプションの市場でも、トレーダーたちがタカ派的なヘッジを好むようになり、年内に予定されているFOMCで2回の0.25ポイント利下げを想定する取引が増えた。
商品先物取引委員会(CFTC)の最新データによると、資産運用会社とヘッジファンドはSOFR契約のネットロングポジションを維持しており、これが現在の市場予想より高い政策金利に対してヘッジするオプションの需要増加の理由かもしれない。
10月1日の米国債は、イランがイスラエルに対して弾道ミサイル攻撃を行ったことを受けて質への逃避から上昇した。
強気派のトレーダーは、ロングポジションをさらに解消して利益を確定すべきかのヒントを求めて4日の雇用統計に注目している。予想より強い統計結果が雇用市場の回復を示せば、11月の0.5ポイント利下げへの期待がさらに後退する可能性がある。