どうしても避けたい 働き盛り世代の「介護離職」 減らす方法はある?
親や配偶者の介護が必要になり、これまで勤めていた職場を辞め、介護に専念される方もいます。 介護のために離職をすれば、その家族にとって困った事態であるだけでなく、社会全体にとっても、大きくマイナスになります。最近増えつつある「介護離職」を減らす方法はあるのでしょうか。
介護離職はなぜ起こる
仕事をもちながら、親や配偶者の介護を続けている方は、かなり増えています。総務省が公表している「就業構造基本調査」を見ても、仕事をもちながら家族などの介護を続けている方は、約370万人いると推定されています。 その中で、介護に十分な時間が割けない、仕事を続けることで肉体的・精神的負担が大きいとして、退職する方もかなりいます。 実際に介護をするために離職する方は、コロナ禍の時期は多少減少したものの、ここ数年を平均すると、毎年10万人前後はいると考えられます。介護する方と同居している、住居が近くにあるという方の場合はまだしも、介護する方が遠方に住んでいる場合には、さらに難しい環境になります。 介護離職を選択する方は40~50代の働き盛りが最も多く、自分または配偶者の親の介護のため、との理由が圧倒的です。離職することにより介護に専念できる、他人の援助による支出が減った、との前向きな意見がある半面、収入が大幅に減ることに対する不安に直面します。 離職した時点での大幅な収入減だけでなく、将来的には年金額の減少というマイナス面も待ち受けています。離職時は介護のことで頭がいっぱいでしたが、介護が終わり再就職をしたとしても、以前の収入を確保するのが難しいのが現実です。 とくに働き盛りの年代の方がリタイアするわけですから、社会的にも大きな損失となり無視できない面があります。労働力不足が深刻化している現在では、社会全体でこれを回避する方策が求められています。
社会全体で介護離職を減らす努力を
親や配偶者の介護のために、仕事を辞めることを防ぐ努力が何より必要です。離職を選択する理由として、勤務先での介護休暇の取得が取りづらい、実際に制度自体が利用しにくい、といった声がかなりあります。本当に休暇を取りたいときに取れない実態が見てとれます。 また勤務先の介護休暇制度があっても、その内容が周知徹底されない、といったことも見受けられます。就業規則に明確な記載がない会社もあり、実際には取得できることを知らない方も多いと思われます。介護休暇が必要な時期に取得できる、何回かに分割取得ができる、といったことが最低限求められます。 また、介護を1人で背負い込むのではなく、可能な限り家族間で協力し介護を分担する工夫も不可欠です。介護する人が家族内に誰もいないケースは別ですが、子どもを含め家族全体で支えられる場合は、ぜひとも努力すべきだと思います。 家族だけでなく、外部の力を頼りにすることも大切になります。家族内で完結するのではなく、外部の力を活用しましょう。介護度に応じて、担当のケアマネジャーなどと相談し、介護者に最適なプランを作成します。ヘルパーなどをうまく活用して、介護の負担を少しでも減らす工夫も大切になります。 ケアマネジャーやヘルパーとの相性が悪い場合は、交代を考えることも検討します。介護離職を防ごうと思えば、外部の協力者とうまく付き合うことは不可欠だからです。