「お前たちのせいで…ふざけるな!」管理職の利用も増加中…最短30分で会社を辞められる「退職代行サービス」の現場で起きていること
需要拡大中の退職代行サービス
「GW明けには173件のご依頼がありました」 そう語るのは、退職代行サービス『モームリ』を運営する株式会社アルバトロスの代表取締役・谷本慎二氏だ。 【一覧】「消える仕事」42種を全公開…安心かと思いきや、実はヤバい「意外な職業」 近年、メディアで多く取り上げられるようになった「退職代行サービス」。認知度が急激に上がったことで利用者も増え続けている『モームリ』には、新卒から70代までと幅広い世代からの依頼があり、24時間、27名体制で運営を行っているという。 「新卒の内定辞退、入社1日でのご利用から、定年後にアルバイトとして勤務をしていた70代の方など、幅広いご依頼があります。理由は様々ですが、20代から30代の若い世代の場合、『入社前に話していた条件と違う』『人間関係が悪い』といったものが多いです。 管理職・中間管理職の40代以上では、やはり仕事量が多く、辞めたくても辞められないという労務面でのご事情が目立ちますね。管理職世代のご利用も増えている状況です」(前出の谷本氏、以下「」内も)
アンチの声も届くワケ
退職代行サービスの存在には賛否がある。「劣悪な環境で働くくらいならば利用すべきだ」といった意見と、「会社を辞めたいなら自分で言うべきだ」という主張だ。実際、同社にも直接アンチの声が届くこともあるそうだ。 「退職代行サービスの存在について、否定的なご意見をいただくことはよくあります。ただ、実際には高齢者からのご依頼もありますし、私が思うのは『20年前にこのサービスが存在していたら、おそらく使われていた方も多いのではないか? 』ということです。 確かに弊社へのご依頼の中には、『すぐに辞められるから』『今の仕事は向いてないし言うのは面倒くさいから使う』といった方がいるのも事実です。 しかし、ほとんどが致し方ない理由であるものなのです。特に多いのは、塾の講師や大手飲食チェーン店で店長として働く方々のご利用です。彼らは、なかなか休みを取ることができない環境で働き続け、『辞めたい』と言っても簡単に辞めることができない立場の中で仕事を続けていますが、限界が来た時の最後の砦として代行サービスを使うのは自然なことだと思うのです。 また、会社自体が劣悪な環境というものもあります。印象に残っているのは、動物を虐待しているペットショップや、衛生器具を洗わずに使い回す病院、資格を持っていないとできない業務を素人にやらせるといった企業など……。 私どもは事前に利用者と打ち合わせをしてから退職代行を進めますが、そこで話を聞く限り、『この環境で働いていたら、代行サービスに頼みたくもなるよね』『誰でもいいから代わりに辞めたいと言って欲しいだろうな』と思うケースが多々あるのが現実なのです」