なぜ大谷翔平はゴミ拾いもトイレ掃除も嫌がらないのか…高校時代から守り続けている「佐々木監督の教え」
大谷翔平選手はグラウンドに出たとき、しゃがんでゴミを拾うことがある。また高校時代には、寮のトイレ掃除を文句一つ言わずにやっていたという。なぜそうするのか。ジャーナリストの桑原晃弥さんの書籍『圧倒的な力で世界を切り拓く 大谷翔平の言葉』(リベラル社)より一部を紹介する――。 【写真】カブスとの試合前、外野でキャッチボールをするドジャースの大谷翔平 ■「人間性」も必要だと考えてきた 真面目にやってきた人間が「てっぺん」にいくべきだと思っています。(『道ひらく、海わたる 大谷翔平の素顔』扶桑社文庫) 大谷翔平が花巻東高校時代に作成していた「目標達成シート」。その中央には「ドラフト18球団」と書かれていました。 これ自体はいかにもプロ野球を目指す高校生らしいものですが、大谷はそのために何が必要かを考えます。 挙げられた要素の中には「体づくり」や「メンタル」だけでなく、意外にも「人間性」や「運」が書き込まれていました。 世の中にはスポーツや芸能などに秀でていれば人間性は関係ないと考える人もいますが、大谷はそのようには考えていなかったのです。 ■「模範となる人物」を目指してきた トップに立つ人間、成果を上げる人間は、模範となる人物、真面目にやってきた人間であるべきで、自分もそうありたいというのが大谷の考え方です。 だからこそ、大谷は今でもグラウンドを歩いているときにしゃがんでゴミを拾うことがあります。高校時代は、佐々木監督から言われた「球場の一番高いマウンドに立つ人間は、みんなが一番嫌がる仕事をしなさい」という教えを守り、寮のトイレ掃除も文句一つ言わずにやっていました。 表の努力だけでなく、裏の努力も惜しまない。 大谷は常に「てっぺん」を目指すにふさわしい人間であろうとしているのです。
■「権利と義務」を教えられてきた プロ野球選手としてやらなきゃいけないことをやる。だからこそ、自分にしかできないプレーをする権利が出てくる。(『大谷翔平 野球翔年Ⅰ 日本編2013-2018』文藝春秋) 大谷翔平は花巻東高校で佐々木洋監督からさまざまな影響を受け、その教えをプロになってからも大切にしています。 佐々木が部員たちに教えている言葉の一つに「権利と義務」があります。 バッターは、ボールを打つと一塁まで走る「権利」を手にするが、同時に全力で走る「義務」も負うことになる――。 これが佐々木の教えでした。 同校の野球部には、大谷が在籍していた当時、100人超の選手が所属していました。甲子園でベンチに入れるのはスタメン9人を含む18人、それ以外の選手はスタンドで応援します。 ■「ファンに支えられている」意識を持つべき バッターに権利と義務が生まれる理由は、ベンチに入れない選手に対して、バッターが全力で走ることによって初めてその思いを伝えられるからです。 大谷は「プロ野球選手としてもそこは大事」と考えています。 プロである以上、試合中はもちろん、練習や普段の生活でも、たくさんのファンに支えられている(見られている)という意識を持ち、やるべきことを全力でやる義務がある。 そして、その義務を果たすからこそ「自分にしかできないプレーをする権利」が生まれる。それが大谷の考え方なのです。