リーバイスがパキスタン協定に署名、繊維・縫製産業における労働環境改善へ
「リーバイス(Levi’s(R))」が、「パキスタンの繊維・縫製産業における健康と安全のための協定(Pakistan Accord on Health & Safety in the Textile & Garment Industry、以下パキスタンアコード)」に署名した。アパレル生産工場で働く労働者の労働環境改善に取り組む国際NGO団体「クリーン・クローズ・キャンペーン(The Clean Clothes Campaign)」が発表した。
パキスタンアコードは、2013年のバングラデシュ・ラナプラザビル崩壊後に発足した、ブランドと労働組合の間の法的拘束力のある協定。同協定により、署名ブランドの生産工場は検査され、特定された安全上の危険は是正されることが保証される。 リーバイスをめぐっては、2022年にパキスタンの生産工場で有毒ガスにさらされ4人の労働者が死亡。またパキスタン時間の今月14日には、リーバイスの工場「コンバインド・ファブリックス(Combined Fabrics)」で爆発事故が発生し、従業員1人が死亡、4人が負傷している。 クリーン・クローズ・キャンペーンはこれまで、リーバイスの内情をまとめた報告書の製作・発表と、それを踏まえた公での呼びかけを実施。同ブランドがいかにして他ブランドの努力に便乗してきたか、労働者に対して自ら責任を負う必要があるかを明らかにした。同団体のキャンペーンコーディネーターであるクリスティ・ミエデマ(Christie Miedema)は「労働者や活動家は、リーバイスが今や態度を変え、国際協定とそのパキスタン国別プログラムに署名したことを歓迎しています。同社がこの機会を利用して協定のバングラデシュプログラムにも署名してくれることを期待しています」とコメントしている。 また、パキスタン在宅女性労働者連盟のゼラ・カーン(Zehra Khan)事務局長は、「リーバイスが、労働者の安全に対する責任を取るよう訴える世界中の労働者や活動家の声にようやく耳を傾けてくれたことを嬉しく思います。しかし、先日起きた死亡事故を含め、リーバイスが協定への参加を拒否している間に亡くなったり、負傷したり、命の危険にさらされたりした労働者たちに対しても、私たちの心は寄り添っています。他のブランドもこのことから学ぶべきです。無駄にしている時間はありません。今すぐ協定に署名し、パキスタンの危険なサプライヤー工場が検査され、改善されるようにしてください」と語った。 パキスタンアコードには、日本企業からは「ユニクロ(UNIQLO)」や「ジーユー(GU)」を擁するファーストリテイリングが参加。「ナイキ(NIKE)」や、「デカトロン(Decathlon)」、「アマゾン(Amazon)」、「イケア(IKEA)」などの大手ブランドは、同協定への署名を拒否している。