プーチン大統領”領土割譲”を要求 ウクライナ猛反発「ヒトラーと同じだ」
4)G7が打ち出した新たな対ロシア制裁 対象に中国企業も
ゼレンスキー大統領が中国に対して厳しい姿勢に転じたのと呼応するように、イタリアでのG7サミットも中国への新たな警告に踏み切った。 採択されたG7首脳宣言では、「ロシアとの軍事転用可能な技術・部品の取引に関与すれば、中国の金融機関をG7の金融ネットワークから締め出す」としている。 ロシアへの経済制裁の対象に、中国の金融機関も組み込もうとするG7の動きについて、末延吉正氏(ジャーナリスト・元テレビ朝日政治部長)は、以下のように分析した。 ロシアが戦争を継続できているのは、中国のサポートが非常に大きい。例えば、軍民両用の中国製の半導体などがロシアに渡り、その一方で中国は原油などの資源を購入している。そうした後押しが、ロシアの軍事的生産拡大に寄与している。この状況に釘を刺さなければいけないという意思表明で、非常に意味のある重要な決定だ。 さらに今回のG7サミットでは各国が、凍結したロシア中央銀行の資産をウクライナ支援に活用することで合意した。これらは今後のNATOの戦い方の中で実質的な意味を持ってくるのではないか。 ロシアによるウクライナ侵攻が長期化する中、ロシア国内の様子はどうなっているのだろうか? サンクトペテルブルクでの国際経済フォーラムを取材した駒木明義氏(朝日新聞論説委員・元モスクワ支局長)は以下のように語った。 サンクトペテルブルクは紛争前と街の様子はまったく変わりがない。いまは白夜の季節で、幻想的な雰囲気の中、6月から夏休みを迎えた学生で街は賑やかで、劇場にも客が詰め掛け、皆、生活を楽しんでいる。一方、ウクライナのキーウに行くと、頻繁に空襲警報が鳴り、劇の上演中でも中止してシェルターに避難しなければいけない日常がある。 サンクトペテルブルクはいまも昔と変わらず美しく、人々は親切で、表情もおだやかで、平穏な日常を送っているように見える。だからこそ、人々がどこまで紛争を想像できているのだろうかと、私はやるせない気持ちを強く感じた。いま自分の国がしていることについて、悩んだり、考えたり、憤ったりしている人たちももちろんいるが、多数派ではなく、あまり表立っては出てくることがない。 経済面でも、ロシア国内では影響を受けている人たちもいるが、目立って悪化しているということはなく、全体としては踏みとどまっているという印象を感じた。 <出演者> 駒木明義(朝日新聞論説委員。モスクワ支局長などを歴任。クリミア併合を取材。著書に「安倍VSプーチン」などがある。国際関係の社説を担当) 末延吉正(元テレビ朝日政治部長。ジャーナリスト。永田町や霞が関に独自の情報網を持つ。湾岸戦争など各国で取材し、国際問題に精通) 「BS朝日 日曜スクープ 2024年6月16日放送分より」
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