高齢者を狙う悪質商法。鶴見区で対策セミナーを開催/大阪
高齢者を対象とする悪質商法が後を絶たない中、大阪市鶴見区の区民センターで悪質商法にだまされないための対策セミナー「あなたをねらう悪質商法」がこのほど開かれ、シニア世代がメモをとりながら熱心に聞き入っていた。ときおり犯行の巧妙さや被害金額の多さに、どよめきが起きた。
事例をあげて悪質商法の手口を説明
このセミナーを開催したのは鶴見区生涯学習推進員連絡会で、講師は大阪市消費者センターくらしのナビゲーター、瀬川秀夫さん。瀬川さんは代表的な悪質商法である点検商法、SF(睡眠)商法、架空請求・不当請求、送りつけ商法、かたり・実験商法、インターネットの取引トラブルなどについて、事例をあげて悪質商法の手口を説明しながら注意を促した。 点検商法では、高齢女性がシロアリの点検に来たと称する業者の訪問を許し、「床下からシロアリがわいている。家が倒れてしまうので今すぐ駆除を」と、多額の工事費を要求された。しかし、機転を利かして、「息子に相談するのであすまで待って」と返事を保留した。 息子に話すと、「わが家の床下はセメント作りだからシロアリは発生しない」と明言したので、被害から免れたという。瀬川さんは「あやしいと思ったら、ひとりで判断しないでください。三人寄れば文殊の知恵。家族や知人に相談すると的確な助言を得られます」と解説した。
家族と「合言葉」を設定してほしい
役所の職員であるかのように装うかたり・実験商法で、80代女性が、狭い住まいに火災報知器を、40個も設置。しかも通常価格の数倍の高根で買い取らされ、多額の金額をだましとられたケースがあった。 瀬川さんは「だまされてしまうと、被害の回復はむずかしい」とし、「だまされないよう、相手をよく観察するとともに、どんな商品がどれぐらいの価格なのか、日ごろから世の中に関心をもってほしい」と訴えた。 瀬川さんによると、品質の劣悪なダイヤモンドを高額で売りつけられるダイヤモンド詐欺の被害が、大阪府下で今年半年間だけで31件、被害総額9700万円に達したという。 息子や孫を装って高齢者の財産を奪う「振り込め詐欺」が、巧妙に手口を変えながら続発しているが、瀬川さんは詐欺グループを寄せ付けないために、家族と「合言葉」を設定してほしいと提案する。 「山と川でもいい。電話の向こうで『合言葉』を返せなかったら、にせものだと分かります。きょうの参加者は皆さん、ご家族と合言葉を決めてください」と呼びかけていた。 (文責・岡村雅之/関西ライター名鑑)