「ザ、勢い」創部6年目の福岡大若葉が昨夏の準Vチームを撃破 ベンチのみんなが監督【高校野球福岡大会】
◆第106回全国高校野球選手権福岡大会5回戦 福岡大若葉7―1東筑(17日・久留米市野球場) 創部6年目の福岡大若葉が初の8強進出を果たした。3回戦で春4強の九州産業に1点差で競り勝ち、5回戦は昨夏準優勝の東筑を大差で撃破と無印軍団が快進撃を見せる。「ザ、勢い。これが高校野球ですね」。土井誉仁監督は優勝候補にも挙げられていた伝統校を打ち破った選手たちを頼もしそうに見つめた。 ■福岡大会8強進出果たしたのは…【トーナメント表】 3回まで音なしだった打線が4回に目覚めた。1番水迫幸太(3年)からの4連打で2点を先制。その勢いは5回も止まらなかった。先頭打者の大井咲汰郎(3年)の二塁打で幕を開けると犠飛を挟んで6連打、打者11人の猛攻で5点を追加するビッグイニングで点差を広げた。投げては1年生左腕の川村隆之祐が7回途中まで1失点の力投でチームの勢いをつけた。 「打線が3回まで打たないのは選手たちが1巡目を捨てているから」。選手の主体性を尊重する土井監督は、試合中も選手の意志に任せている。「1巡目は球を見極める後半のための種まきなんです」と4回に先制打を放った藤川純乃介主将(3年)は説明する。盗塁はノーサイン。川村が7回途中まで投げたのも、選手起用や投手交代のタイミングも選手に委ねているためだ。「選手の中から出てくる発想や作戦を確認するだけ。セオリーはないから考えを引き出して上げるのが僕の役割です」と土井監督が説明するように、ベンチ全員が選手であり監督でもある。 初のベスト8進出を懸けたこの日の対戦のテーマは「夢中になろう」。藤川主将は「楽しむを越えて夢中になろうということ。みんな捨て身でいっているから持ってる力以上のものが出せている」と話す。エンジョイを越える「夢中」で快進撃を続ける福岡大若葉が福岡大会の台風の目になろうとしている。(前田泰子)
西日本新聞社