「200m平泳ぎは自分の種目」岐阜出身・今井月選手、プライドをかけたパリ五輪への挑戦
「私よりも期待してますから。私の事を」と、父・博美さんについて語る月選手。博美さんは今後について、「もうちょっと娘の水泳を楽しませてほしいからね。(月選手が)水泳を辞めちゃうと水泳ロスになっちゃって。俺も暇になっちゃうから」と話す。
続けて、「やっぱり日本記録を出してほしい。今も残っている彼女の学童記録にプラスして、日本記録を出せばちゃんと育ってきた選手なんだと記録で残るからね」と娘の未来に期待を寄せた。
コーチと二人三脚で“泳ぎ改造”
今年1月、雪が残る長野県。酸素が薄い標高1,700mの地で、月選手は高地合宿を行っていた。パリ五輪内定の切符をつかむには、派遣標準記録2分23秒31を突破し、2位以内に入らなければならない。そのために、この合宿で強化していたのは「フォーム改造」。フォームについて、月選手は「今までは背中を使うのがうまくなくて。上半身の動きは、肩甲骨からしっかり前に出すことを意識しています」と話す。
新しいフォームの参考にしたのは、200m平泳ぎ世界記録保持者の、ロシアのエフゲニア・チクノワ選手の動き。チクノワ選手の動きについて、「すごく背中が動いているような、肩が上がるような感じで水をキャッチをしていた」と特徴を話す。上半身を使った理想のフォームを求め、フォーム改造に取り組んだ月選手。肉体改造によるパワーを最大限にいかし、コーチと二人三脚で、何度も体にたたき込んでいた。
合宿終盤、月選手は50mのタイムトライアルを実施。連続6本を3セット半、連続4本を1セットを行う超過酷なメニューだ。改造したフォームを確認しながら、レースを想定した練習。本数を重ねるにつれて、体力も限界に近づくなか、最後の1本でこの日のベストタイムをたたき出した。
パリ五輪をかけた選考会は、3月22日(金)に実施。月選手は選考会に向けて、「東京五輪に行けなかった時、あのまま終わるのは恥ずかしいと思って、3年間やってきたので、自分の水泳はこんなもんじゃないと結果で証明したい。それを証明できるのがパリ五輪代表選考会やパリ五輪本番だと思う」と話す。続けて、「200m平泳ぎは自分の種目だと、アピールできるように本番は頑張りたい」と意気込みを語った。 選考会は一発勝負。8年ぶりの五輪出場に向けて、プライドをかけた戦いがついに始まる。