フットサル日本代表、史上初のグループリーグ敗退に木暮賢一郎監督も意気消沈「人間的にも素晴らしい17名が集まったからこそ、勝たせてあげたかった」【アジアカップ2024|ミックス/日本vsタジキスタン】
これまでのプロセスの価値が下がるわけではない
──2016年大会のプレーオフ敗退から8年。取り組んできたことや方向性は間違ってなかったと思いますが、あと一歩なにかが足りなかったのか? 選手にも話しましたが、物事には見えるところと見えないところに価値があります。見える部分の価値に関しては、当然結果が問われる世界なので、「ワールドカップの切符を取れなかった」ということがすべてです。 一方で、見えない取り組みというところに関しては、外には見えないからこそ、なにが正しかったかどうかということをジャッジすることが難しいものですが、この2年半のプロセスにおいての、選手の努力や取り組み、いろんなものを犠牲にしてきたことは、今日負けてしまったことで価値が下がるものだとは思っていません。 もちろん代表選手なので、結果に対して評価されて、関わった人全員がこの責任や苦しい思いをこの先、背負っていくことは間違いないと思います。ただ、自分から伝えたいのは、それが人の価値を下げるのではないということ。これからも胸を張って、見えないものの価値と見えるものの価値が合わさって評価されたり、これ以上の成果を出す努力を続けてほしいなと思います。 ──大会前に日本には男女の全国リーグがあり指導者も育っていて、その実力を見せれば勝てるという話をしていましたが、それでもこの結果になってしまったのは、競技力がまだまだ足りないということなのか、それとも本来の力を出し切ることができなかったのか。 たしかにそういう話をしましたが、今でもその気持ちは変わっていないですし、先ほどの話とも被りますが、この負けでこれまでの取り組みや努力、価値が下がるとは思っていません。負けたから育成がよくないとか、Fリーグのレベルがというのも違うと思います。ただ、負けたことには理由がある。見つめ直してダメージを乗り越えて、もっと日本のフットサルが強く良くなるきっかけにしていくしかないです。 ──勝つためにいろんな難しい決断を迫られ、最後は自分の信念を曲げて3セット回しを取り入れたりと最善を尽くした結果だと思うのですが、「自分の信念貫けばよかった」という思いはありますか? それはないです。とった決断が負けたから正しくないと言われればそういう側面もあるかもしれませんが、それも“たられば”なので誰にもわかりません。監督の仕事は、目の前の課題を解決して、1パーセントでも勝つ確率を上げていくこと。そのために最善を尽くしたことに対して、恥じることはないですが、選手を次のステージに送り届けられなかったことは力不足だと感じています。 ──ワールドカップ出場を一つのノルマに置きながら、達成することはできませんでした。少し聞きづらいことですが、木暮監督としてご自身の立場的なものも含め、この結果をどう受け止めて、どう先につなげていくのか。 この代表チームのリーダーは監督である私ですし、ワールドカップに出場するという目標をクリアできなかったことは自分に責任があると思っています。 ただ、もちろん批判はあると思いますが、選手にも話したように、自分のフットサル人生や指導者として過ごしてきたここまでの時間に対して、ここで負けたから悪い監督だとも思わないし、もちろん勝ったからいい監督であるとも思いません。この先(去就について)どうするか、どうなるかは今考えてもいないですし全く分からないですが、事実やリーダーとしての結果は、真摯に受け止めて、こういったことが今後起きないようになにかしらの形ではフットサルに貢献して、伝えていく機会があればとは思います。
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