阪神困惑”新型コロナ感染問題”を巡る「誤解とデマ」
そもそも、このパーティーの場所が、感染源だったかどうかも憶測にすぎないが、1日、大阪の吉村知事は、大阪北区の「ショーパブ」で4人、「クラブ」で6人の客や従業員の感染者が出ており、濃厚接触者も含めて計18人の感染を明らかにした。 吉村知事は先月31日に、同エリアでクラスターが発生している可能性が高いことを理由に府民に「ナイトクラブ、バーなど、夜から早朝にかけ密室で接客するエリアの利用は自粛をお願いしたい」と求めていた。言い方は悪いが、14日のパーティーで入れ替わり立ち替わりで、北区で働く飲食店員の女性が出入りしていたのならば、吉村知事が出入りを控えるように自粛を求めたバー、クラブなどの接客を伴う飲食店と同様の空間だったとも考えられる。合コンよりもタチが悪い。 感染経路不明者が多いために、その調査から、最近になって明らかになった”感染リスクの高い場所”ではあるが、オープン戦が、無観客の厳戒態勢で進んでいた3月14日という時期に、「密閉」「密集」「密接」の3条件にあたるパーティーに参加した各選手の認識の甘さと、周知、徹底していなかった球団の危機管理の欠如は指摘されてもやむを得ないだろう。不謹慎極まりない行動である。 揚塩健治球団社長も、「もう少し厳しく外出禁止というような方法でのぞんだほうが良かったという反省がある」と口にしていた。 ただ阪神は外出禁止措置はとっていなかったが、新型コロナ対策に何も手を打っていなかったわけではない。3月6日の時点でチーム内に警戒令を発令している。 「密閉空間に多人数で密接することがダメだ、と具体的な禁止場所を示して禁止にしました」(球団関係者)と、出入りの禁止場所を文書にして貼り出していたという。 実態として守られていなかったのであれば、危機管理を「やっていない」と同意語ではある。しかし、現実問題として球界全体で見れば、外出禁止など感染予防対策の中身はチームによってまちまちになっていた。NPBとJリーグが合同で立ち上げた「新型コロナウイルス対策連絡会議」が、そこまでの厳しい指針を出していなかったこともあるが、NPBが、”非常事態宣言”を出して全チーム横並びに「外出禁止」を徹底するなどのガイドラインを示し、リーダーシップを取っても良かったのではないだろうか。 今、重要なのは、新型コロナ関連のゴシップと責任論をほじくり返すことではなく、前を向いて新型コロナ対策を徹底して、感染予防、選手の意識改革に努め、第2、第3の感染者を内側から出さない努力である。そのためには12球団で情報をリアルタイムで共有しながら手を取り合って、人類の健康、安全、経済も含めて世界を破壊しようとしている”見えない敵”に立ち向かうことが必要だろう。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)