【佐藤隆太さんインタビュー】自分にとって大切な“舞台”で、何かの縁を感じた作品です
【Culture Navi】カルチャーナビ : 今月の人・今月の情報 自分にとって大切な“舞台”で、何かの縁を感じた作品です──佐藤隆太さん
舞台はヒトラーが台頭し始める1930年代のドイツ。世の中の大きな流れに巻き込まれたときでも、人は“善き人”でいられるのか。観る人にそんな疑問を投げかけ、イギリスで話題になった作品『GOOD』‐善き人‐を日本で上演。主人公の大学教授ハルダーを演じるのは、俳優としてさまざまなジャンルに挑戦し続ける佐藤隆太さんです。 「初めて台本を読んだとき、自分がハルダーとして舞台に立っている姿を想像しづらく、オファーを受けるか悩みました。でもお話をいただいてからこの作品のことがずっと頭から離れなくなり、何をしていても思い出す状態で、これは大切な縁なんじゃないかと思ったんです」 デビュー以降、映像作品と並行してコンスタントに舞台作品にも出演している佐藤さん。舞台の魅力とは? 「シンプルに“ライブ”であることですよね。お客さんと直接顔を合わせて、目を見て、考えていることを感じ取れるのはすごく豊かな時間だなと。コロナ禍で人と人が距離を置かざるを得ない期間を経験したからこそ、去年、観客と掛け合いをするひとり芝居を再演して、ますます舞台に立つ時間を大切にしていきたいと実感したんです。そんな矢先にいただいたのがこの作品のお話だったので、これは今やるべきなんだなと。舞台でデビューして今年で25年になりますが、変わらず舞台に立たせていただけることはとてもうれしいですし、ありがたいことだと思います」 今回演じるハルダーとは「3人の子を持つ父」という共通点がある佐藤さん。インタビュー中も常に笑顔を絶やさない様子から、家庭でも“善き父”なのではと想像してしまいますが、実際のところは? 「どうなんでしょう(笑)。正直子育てに関して、“善き父”でいなければ!というのは考えていないです。ただひとつ言えるのは、僕は家族が大好きということ。休みの日は基本的に家にいます。子どもたちの習い事の送迎をしているので、送迎ドライバーですね。いちばん上の子はもう中3ですし、あと何年同じ家で暮らせるかもわからないので、一緒にいられる時間を大切にしたいんですよね」 仕事に子育てにと忙しい中、夫婦の時間も欠かせないものだそう。 「妻とは、僕が平日休みの日にふたりでランチに行っています。話すのはどうしても子どものことが多いですが、僕の仕事について“こんな話をもらったんだけど、どう思う?”と相談することも。“○○だからやったほうがいいんじゃない?”と、思いもよらなかったアドバイスを受けて、そういう視点もあるのか。よし! やってみようと背中を押してもらって、お受けした仕事もあります」 子どもの前ではあまり仕事の話はしていないそうですが、家族全員で佐藤さんの出演舞台を観ることも。 「観てくれたことが後々どこかで何かにつながったり、ふとしたときに振り返ってもらえたりするといいなと思って、特にその場では感想を聞いていないです。子どもたちの将来について願うのは、自分がそうだったように、何かひとつでも好きなことを見つけてくれるといいなと。そんな出会いのきっかけになればと思って“こういうイベントがあるよ”なんていろいろ提案するんですけど、あっさり“それは行かない”と言われてしょんぼりしたり(笑)。そんなごく普通の日々を大切に過ごしています」