ダルビッシュの復帰、本格復調への道のり データが語るもの
レンジャーズは4月1日にアリゾナ州サプライズでのキャンプを打ち上げ、テキサスに戻る。3月17日にトミー・ジョン手術を受けたダルビッシュ有は、一足早く、30日にテキサスに戻り、 リハビリを開始する予定だ。 トミー・ジョン手術を受けたダルビッシュ有の復帰は、いつになるのか。本来の投球を取り戻す、いや、それ以上の投手として復活するまでどれだけの時間を要するのかーー。過去を辿ってみた。 3月8日、レンジャーズの藤川球児は、オープン戦初登板のマウンドで、三塁側のプレート板を踏んで投げた。 「もう、肘が大丈夫なんで」 2013年6月にダルビッシュと同じトミー・ジョン手術を受けた藤川。昨年8月6日にメジャー復帰を果たしたものの、靭帯が完全に馴染んではいない、という感覚があり、プレート板の一塁側から投げていた。プレート板の三塁側から右打者の内角に投げる場合、しっかりと壁を作って投げなければならない。昨年はそれをすることによってひじに負担がかかることを恐れた。しかしもう、不安はない。今はプレート板の三塁側から、自然な動きの中で右打者のインコースを突ける。 彼にとっては、この動作が復調のバロメーターになったようだが、ここまでオフを挟んだとはいえ、21ヶ月を要した。トミー・ジョン手術をした場合、違和感なく投げられるのは、復帰2年目ということがよく言われるが、藤川もそういう領域に入って来たということか。 メジャー復帰そのものは手術から14ヶ月後のことだった。その頃、リリーフ投手にしては遅いのでは、との声を耳にした。先発投手とリリーフ投手では投げるイニング数が違うため、しっかりと肩を作る分、先発投手の方がリハビリに時間を要し、逆にリリーフ投手は長いイニングを投げる体力を作らなくてもいいので、多少なりとの早く復帰できるーーとの捉え方があるからだろう。 しかながら、今回、2005年以降にトミー・ジョン手術を行った投手に中から無作為に25人を選んで調べたところ、決して、そうとは言えない結果が出た。今季、レンジャーズのクローザーが予定されるネフタリ・フェリスは13ヶ月。昨年、そのフェリスに代わってクローザーを務めていたホワキム・ソリアは15ヶ月を要している。もちろん、メッツ時代のビリー・ワグナーやブルージェイズ時代のBJ.・ライアンのように11ヶ月というリリーフ投手もいるが、極端にリリーフ投手が早く復帰しているわけではない。 一方の先発投手も、リリーフ投手よりも時間を要しているとはいえず、逆のケースも少なくない。当時マーリンズのジョシュ・ジョンソン、レッズのエースだったエディンソン・ボルケスは、わずか11ヶ月で復帰を果たしている。ステファン・ストラスバーグ(ナショナルズ)と松坂大輔は12ヶ月で、アダム・ウェイウンライト(カージナルス)は13ヶ月だった。 こうして見てくると、シーズンの後半、あるいはオフに手術をする場合を除けば、復帰までの期間は先発、リリーフに関わらず、11~15ヶ月程度であり、あくまでも個人差があると言えそうだ。 となると、3月17日にトミー・ジョン手術を受け、来年の開幕を12ヶ月半で迎えるダルビッシュの復帰は6月頃ーー手術から14ヶ月半後との見方が多くを占めるが、来年の開幕に間に合っても不思議ではない。比較的ダルビッシュの手術日に近い2月28日に手術を受けたウェインライトも、翌年の開幕に間に合っている。 問題は、昨年の藤川がそうだったように1年目からなんの不安もなく投げられるかどうか。そもそもトミー・ジョン手術を受けた場合、復帰時期そのものよりも、どのくらいで本来の投球、いや、故障前を超えるような投球が出来るかにある。