【兵庫県知事選】稲村氏 “もやもや”敗北 「何と向き合っているのか違和感があった」
兵庫県知事選で落選した元尼崎市長の稲村和美氏は17日夜、事務所に姿を現し「何が争点だったのか。斎藤候補と争ったというより、何と向き合っているのか違和感があった」と胸の内を語った。 異例の選挙戦になった。自主投票を決めた自民党の一部や公明党、立憲民主党の県組織などが支援し、前半は組織戦でリードしていた。だが、報道各社の情勢調査で接戦が報じられると楽観モードは一変。X(旧ツイッター)の応援アカウントが凍結されたり、デマが流されたりする“空中戦”の対応に苦慮した。 稲村氏に付いた自民県議は「信じられないくらいに斎藤氏が勢いを増した。こんなに展開が読めない選挙は初めて」と語った。最終盤には県内29市のうち22の市長が稲村氏の支持を表明。選挙中に複数の市長が特定の候補の支持を表明するのは極めて異例の事態で、陣営のドタバタぶりが露呈した。 22年に3期務めた尼崎市長を退任し政治の世界から身を引いたが、「県政の混乱に終止符を打つ」とし出馬。街頭では「対話と信頼関係で連携できる兵庫にしたい」と訴え続けてきた。 選挙の結果を受け、稲村氏は「候補者の何を信じるか、どのような情報に基づいて投票行動を決めるのかという点で課題が残った選挙戦だった」と肩を落とした。「これからの県政が正確な情報と建設的な議論で推進されることを心から願う」と語った。