過去の経験を今までよりも20%超生かす方法 簡単な方法で有益な教訓を得ることができる
1900年代初頭、哲学者で教育論に重要な影響を与えたジョン・デューイが省察的実践の利点について広範な議論を展開し、省察的実践こそ学習と向上に必要不可欠な要素だという意見を提示している。 デューイは、観察だけでは教育には不十分だと考えていた。真の知識は、自分の経験を振り返り、自身の考え方に修正を加えて、自分の仮定を試してこそ得られるものだという。 デューイの思想は今も教育分野に影響を及ぼしており、教員たちは授業計画を立てて実践したあと「どこがうまくいったか?」「もっと改善できるところはないか?」「次は、どこをどう変えて授業を行ったほうがいいだろうか?」と自問することが求められている。
しかし教育分野以外では、省察の実践機会は限られている。社会人の間で内省が行われるのは、誕生日や新年のような節目、定期の業績評価、あるいはコーチがいる人ならその指導によってということが多い。 締切りに間に合わせることに内省が役立つことはない。そんな状況で時間を割いて内省を行う意義を正当化するには無理がある。人によっては、自分の内側に注意を向けると落ち着かなくなったり、怖くなったりすることもあるだろう。
職場で省察を行ういちばんの障壁は、その使用を支持する職場の規範がないことだ。オフィスで沈思黙考して、内省している優れたリーダーにお目にかかることはまれだ。そのような人に出くわしたとしても、ナルシストだと片づけてしまうだろう。 教育は外からもたらされるもの、つまり新しい情報に触れることによって学習は実現するものだと、私たちは教えられてきた。だが、これは方程式の半分でしかない。 洞察やパターン、予測を求めて過去の出来事を振り返ることが、経験を知恵に変える手段となる。
■振り返りを将来の目標達成に生かす方法 たとえば、省察的実践を試してみたいと思ったとする。 その場合、どこから始めるのがいちばんいいのだろうか? 1つの方法は日記だ。トーマス・エジソンなどの天才的発明家やフリーダ・カーロなどの優れた芸術家、セリーナ・ウィリアムズやマイケル・フェルプス、カルロス・デルガドをはじめとするトップアスリートに共通して見られるやり方である。 日記といえば、あまり好ましくないイメージがある。だが、日記を寂しいティーンエイジャーの自己陶酔的行為として片づける前に、まったく違う別の組織を参考にして日記というものを再定義してみよう。それは米海軍特殊部隊ネイビーシールズだ。