マエケンのメジャー評価急落で能見が浮上?
能見は、2013年のWBCメンバーに選出され米国ラウンドでも登板、数球団にマークされていた。また能見が武器とするスプリットは、マー君の肘故障の遠因とも言われているボールだが、これをウイニングショットにしている日本人投手は、通用するという基準がメジャー側にある。しかも、今季の能見の奪三振「151個」は、メッセンジャー、藤浪、マエケンに続きてリーグ4位の記録。昨春のWBCでピッチングコーチを務め、メジャー解説をしている与田剛氏も、能見をこう分析している。 「私もメジャーのスカウトが能見を評価する理由はよくわかる。田中も、そうだが使えるスプリットの条件はベースを外さないこと。今季の能見は負けが先行してしまったが、彼のスプリットは、ほとんどそこを外さない。いくら上下の変化があっても、ベースを外すと打者は手を出してくれないが、100球くらいで、握力のあるうちは、そこへの精密なコントロールがある。またストレートと変化球がほとんど変わらず腕の振りが一定している」 対してマエケンの評価は、急落気味だ。 あるメジャー関係者は、「落ちる変化球は持っているが、ピッチングに緩急の差が、それほどないし、シーズンを乗り切るスタミナがあるのかどうか。我々スカウトは、初回の球速、球威と、100球を超えた時点での、球速、球威の両方をチェックして、スタミナの目安としているが、前田投手はそこが不安定です」という。 前田は、今季187イニングを投げたが、交流戦途中に脇腹を痛めて離脱するなどメジャーのシーズンを乗り切るスタミナ面が不安視されている。メジャーでローテーに入るためには、シーズンで200イニングを投げ抜くスタミナと、クオリティスタートと呼ばれる「6回3失点」の安定度を保つために1回から6回まで変わらぬ球威とキレが必要になる。また日本と違って中4日で登坂しなければならないし、東西の移動は厳しく、6時間以上の飛行機に揺られて、すぐ登坂というハードスケジュールもある。肉体的な強さとが、メンタルのタフさも求められる。 その点、勝てば2位になって本拠地でCS開催が可能だった10月6日の最終戦となる巨人戦でボークなどのポカをして負け投手になったり、昨日も福留へのカウント1-3からの制球ミスで決勝アーチを浴びるなど、ここ一番で弱いという“繊細さ”と、体力、スタミナ面に少し不安は残る。