【虎になれ】木浪も、中野もプロだ 苦境を乗り越えろ阪神
<日本生命セ・パ交流戦:ソフトバンク1-4阪神>◇16日◇みずほペイペイドーム 前川右京のグランドスラム、才木浩人の好投と若い力で連敗を止めた阪神。 これで貯金1となり、18日に組み込まれた日本ハム戦(甲子園)に勝てば貯金2、負けたとしても5割でリーグ戦に戻れる状況となった。決して好調とは言えないがまずはひと息だろう。 だが喜んでばかりもいられない。試合前に衝撃が走った。木浪聖也が左肩甲骨骨折で離脱-。彼の30歳の誕生日だった前日のゲームで死球を受けた。そのときは「問題なし。取り上げることでもない。大丈夫。カツ入れてくれたんで逆にありがたいです」と、いかにも木浪らしいコメント。しかし検査の結果、骨折が判明。離脱となった。 「大丈夫だと思ったんですけど折れてたので。それでもやるつもりでしたけど、しっかり治した方がいいと思う」。この日の試合前、虎番記者の取材に応じた木浪はそう言った。 しかし、ナインに言葉を残すことはなかったという。「みんな試合に向かっていってるので。抹消されますなんてことはあまり言えないというか。自分のことに集中してほしいので自分は自分のことを考えていきたい」と話したのである。 その試合、阪神は勝った。4安打の結果はともかく気合は入っているように見えたのだ。「恐怖の8番」と言われた昨季ほど好調ではなかったが、それでもレギュラーの一員である木浪を欠くことになった。やはりピンチだろう。選手会長・中野拓夢に聞いた。 「力を合わせてやっていかないといけない状況ではあるんで。木浪さんがケガで離脱したのは、悔しい思いもあるでしょうけど、なんとか自分らの勝つ姿を見せると木浪さんも安心できると思いますし。早く戻ってこようというふうにもなると思いますので」 言葉を選びながら中野はそう話した。アマチュアではないし、独断で言って「離脱した選手のために」どうこうというのは好きではないが「チームが勝つために」という思考は木浪も、中野も同じで、それぞれ「プロ」を感じた。 もちろん小幡竜平や遊撃の控えで出番の増えそうな熊谷敬宥、あるいは植田海にとっては1つのチャンスでもある。「出番が増えるかどうか、とにかく頑張ります」と熊谷。大山もいない、木浪もいない。苦しい状況は残されたメンバーで乗り越えるしかないし、それは同時にチャンスでもあるのだ。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)