イエレン米財務長官、日鉄の買収阻止で「徹底審査」を強調 USスチールはトランプ氏の翻意に期待
【ワシントン=塩原永久】イエレン米財務長官は8日、米CNBCテレビで、日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収計画の審査が「徹底的な分析」に基づいて行われたと述べた。審査を踏まえ買収を禁じたバイデン大統領に対し、両社は訴訟提起を表明したが、イエレン氏は米政府による審査の正当性を強調した形だ。 【画像】バイデン大統領を痛烈に非難するUSスチールのコメント(同社HPより) 買収計画を審査した対米外国投資委員会(CFIUS)は財務省などの関係省庁で構成。イエレン氏はCFIUSを取り仕切る立場にある。 イエレン氏はCNBCの番組で、「CFIUSは詳細を分析し、通例行われるような徹底的な分析をした上で大統領に報告した」と話した。ただし係争中の案件だとして詳しい言及は控えた。 米メディアは、バイデン政権内の議論で、イエレン氏やブリンケン国務長官らが、同盟国の日本からの買収計画に大統領が禁止命令を出すことに反対や懸念を示したと伝えている。 一方、USスチールのブリット最高経営責任者(CEO)は米FOX系番組で、トランプ次期大統領が「過ちを正すと信じている」と述べ、バイデン政権の判断をくつがえし、買収を容認することに期待を示した。 ブリット氏はバイデン氏を批判した上で、「トランプ氏は(鉄鋼)労働者をとても気にかけてくれている」と指摘。USスチールと日鉄の主張を理解してくれるだろうとの見通しを語った。トランプ氏は大統領選で、日鉄による買収阻止を明言していた。 日鉄などは提訴に当たり、バイデン氏が全米鉄鋼労働組合(USW)などの働きかけを受け、不当に買収計画の審査に影響を及ぼしたと主張している。