6日間で13%下落のTSMC、一段安の可能性ーオプション取引が示唆
(ブルームバーグ): 半導体受託生産最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の慎重な見通しや、人工知能(AI)トレードが巻き戻されるとの懸念を受け、同社の米国預託証券(ADR)のオプショントレーダーは相次ぐ弱気な見方に直面している。
ブルームバーグ集計のデータによると、TSMCのADRのプットオプション(売る権利)の取引高は19日、1月以来の高水準に増加した。TSMCはここ6営業日で13%下落し、時価総額1000億ドル(約15兆5000億円)余りが消失した。
TSMCは先週、2024年の半導体市場(半導体メモリーを除く)の伸び見通しを約10%に引き下げた。AIを巡る熱狂の高まりを受け、関連セクターはここ1年で急伸してきたが、最近は慎重なニュースが相次ぎ、上昇は行き過ぎだと見る向きもある。19日の米株式市場で人気のAI関連銘柄、エヌビディアとスーパー・マイクロ・コンピューターの株価は急落した。
ただ、プットオプションが増加傾向にある一方で、コールオプション(買う権利)の取引も活発で、一部トレーダーが反発の可能性を見込んでいることを示唆している。プットオプションとコールオプションのオープンインタレスト(未決済建玉)は、それぞれ20日平均を約20%上回った。
モーニングスターのアナリスト、フェリックス・リー氏は19日のリポートで、慎重な設備投資や業界の見通しによってTSMCに対するセンチメントが低下していると指摘。ただ、「AI関連需要が引き続きプラスの驚きとなっているほか、自動車・工業市場のセンチメントの下振れ余地は限定的であるため、同社株は依然として魅力的だ」と付け加えた。
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原題:TSMC’s 13% Rout May Have Further to Go, Options Traders Indicate(抜粋)
--取材協力:John Cheng.
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Charlotte Yang