場所によって明暗が……「ラーメン店の生き残り策」をラーメンコンサルタントが解説
海苔や背脂の原価も上昇 ~「どう売価に転嫁するか」が問題
飯田)転嫁するにしても、最近の雰囲気を見ると難しそうですね。 宮崎)具体的に言うと、背脂が去年、倍になりました。今年(2024年)は海水温が上がったので海苔が作付けできず、1.4~1.5倍(の価格)になっています。私の会社もそれを受け入れながら商売しなければならない。ただ、お客さんにそんなことは言えないので、「原材料の価格上昇をどう売価に転嫁するか」は問題ですよね。
飲食で働く若者が少なく人手不足に
飯田)大手企業の賃上げが話題になっていますが、人件費も上がっているのではないですか? 宮崎)東京駅のお店だと、人件費は基本的に時給1400円です。ボーナス時給が1600~1700円のときもありました。それでも来ません。昔の大学生のように、若い子が飲食で働かない。他に選択肢があるのでしょうね。 吉崎)時給1400円を稼ぐためには、1杯以上売らないとダメですよね。 宮崎)1杯でも足りないですね。
桃やイチゴを使った「フルーツラーメン」を開発
飯田)想像以上に厳しいなかでプロデュースするとなると、「何か付加価値を付ける」というのも難しいのではないですか? 宮崎)難しい部分もありますが、自分たちのお店や会社だけがやれること、「オンリーワン」を意識しています。「ラーメンとはこういうもの」というイメージを覆したくて、「フルーツラーメン」を毎年やっています。もともと「ベジソバ」をつくっていたのですが、いまはイチゴや桃を使い、4000~5000円で出しています。桃を3個使うとか、スープにイチゴを1パック、具で2パック使うという感じで、「フルーツもラーメンになる」とプレゼンしています。 飯田)温かくするのですか? 宮崎)冷たい方がいいですね。
ラーメンのファストパスが流行っている
宮崎)最近、予約制のラーメンが流行っています。昔は1~2時間、行列に並ぶのを見せていた時代がありましたが、予約料を払って時短にするような「ラーメンのファストパス」が増えました。予約料の何割かがお店に入れば、お店側も嬉しいし、お客さんも待たないので嬉しい。 飯田)決済も全部スマホで行うとか。 宮崎)そうです。予約の際に支払うので。 吉崎)Uber Eatsを使う感覚ですね。頼んだ時点でもうお金を払っている。 宮崎)予約困難になればなるほど、ブランディングにもなります。 飯田)ラーメンそのものの価値も上がる。 宮崎)そうですね。