自民、また譲歩 憲法審査会長に枝野氏「憲法改正・選択的夫婦別姓」担うポストも 岩盤保守層離れ拍車「自民『終わりの始まり』では」
衆院選での「自公与党の過半数割れ」を受け、与野党は8日、衆院各派協議会で、委員長と審査会長のポスト配分を確定した。野田佳彦代表の立憲民主党は予算委員長だけでなく、憲法審査会長と法務委員長まで確保した。自民党の党是である「憲法改正」が停滞する一方、岩盤保守層が警戒する「選択的夫婦別姓」の審議が加速する可能性がある。石破茂首相のもと、自民党の支持基盤がさらに危うくなっている。 【年代別でみる】石破内閣を「支持する」が「支持しない」を上回った唯一の年代は? 「自民党の『終わりの始まり』ではないか」 政治学者の岩田温氏は、自民党が、憲法審査会長と法務委員長を明け渡したことについて、こう語った。 石破自民党が惨敗した衆院選によって、前向きな「改憲勢力」は国会発議に必要な定数の3分の2を割り込んだ。 こうしたなか、憲法審査会長に就く立憲民主党の枝野幸男元官房長官は、自民党が憲法改正の優先事項に据える「緊急事態条項の新設」に反対し、憲法への「自衛隊明記も不要」との立場だ。改憲慎重派に配慮した審査会運営が予想される。 さらに、野田氏は8日、党のX(旧ツイッター)の動画で、衆院法務委員長のポストを確保したのは「選択的夫婦別姓の実現」が狙いと明かした。野田氏は「野党は協力できると思うし、公明党も多分賛成だ。自民党を揺さぶるには非常に効果的だ」と語った。 選択的夫婦別姓をめぐっては、「親子別姓」や「兄弟別姓」につながり、「親子の絆」「兄弟の絆」「家族の絆」を危うくするとの指摘もある。 石破茂首相は総裁選で、「選択的夫婦別姓の導入」に前向きな姿勢を示していたが、所信表明演説(10月4日)や、衆院選の政権公約では明確に触れなかった。「岩盤保守層」の反発を避けたとの見方もあるが、石破執行部が衆院選で強行した「非公認」や「比例重複を認めず」といった対応で、保守勢力は大きく縮小した。 一連の動きをどうみるか。 前出の岩田氏は「まず、憲法審査会長を明け渡したのは、石破首相の『憲法改正はしない』という意思の表れではないか。法務委員長の件も深刻だ。もし、夫婦別姓が導入されて『親子別姓』『兄弟別姓』となれば、家族の一体感が保てるかは大いに疑問だ。岩盤保守層は、もう自民党には戻らないだろう。石破自民党の愚かさは留まることを知らない」と語った。