『Re:リベンジ』『光る君へ』『不死身ラヴァーズ』など出演作多数 見上愛はなぜ愛される?
『幽☆遊☆白書』『光る君へ』『不死身ラヴァーズ』で見せた“対照的な魅力”
この手のキャラクターというのは、ともすると痛々しいものになりかねない。その感情表現のストレートさに、観る者がついていけないのだ。おそらく多くの人が、彼女のようには生きられない。だからその生き方にリアリティを感じられず、「好き!」と叫ぶ彼女に対して「ありえない」などと鼻白んだ反応をする。が、問題は抑圧された環境下で生きる私たちのほうにあると私は思う。見上が全身全霊を懸けて体現する長谷部には誰もが衝撃を受けるだろう。キャラクターの内面と俳優の身体とが連動していて、見上が疾走し、飛び跳ねることにより長谷部の感情がダイレクトに伝わってくる。 身体の一部である顔に関しても同じ。春の陽光のように弾ける笑顔もまた、その内面を純度100パーセントで表出させていることが分かる。これはただガムシャラに演じれば実現できるというものではもちろんない。それでは外面をそれっぽく作り上げるだけのものにとどまってしまうのだから、鼻白んで当然だろう。長谷部のような人物はそういないのかもしれない。しかしそんな彼女と見上が深いところで手を取り合えているからこそ、心の動きと身体の動きとが見事に一致したキャラクターが誕生しているのではないかと思うのだ。 俳優デビューからもう5年。いや、まだ5年の見上愛。現実離れした役どころといえば、『幽☆遊☆白書』(Netflix)が配信中であり、令和の時代を生きる私たちからすれば、平安の世を描いた『光る君へ』で演じた藤原彰子も、この系譜に連なるものだといえるのではないか。そういった意味では、『Re:リベンジ-欲望の果てに-』で展開しているのは等身大の演技だともいえる。見上がなぜこうも愛されているのか、いまのところまだ結論は出せない。ただその魅力のひとつとして挙げられるのは、筆圧強めに記してきた、心と身体がちゃんと連動した演技を実践しているところ。この春から夏にかけて、早くも彼女の真価を知ることになりそうである。
折田侑駿