ユーチューバー・かじえり 「エナモル」で年商2億円超えでも“まだ三分咲き”
2020年ごろに急増したインフルエンサーコスメは、選別淘汰が進んでいる。生き残れるのは、マーケティング力と商品力、熱烈なファン層を抱えているブランドだ。発信型メイクアップアーティストのかじえり(KAJIERI)が立ち上げたDcyua(ディキュア)は、自身がプロデュースするコスメブランド「エナモル(ENAMOL)」の人気により、設立(19年10月)から約5年で年商2億円に達するなど着実に成長を遂げている。その裏側には、努力と苦悩を乗り越えた経験があった。
登録者数28万人のYouTubeアカウントを手放す
「正直、あのときが一番精神的につらかった」と思い返すのは、2019年。4年間定期更新し続けたYouTubeチャンネル「KAJIERI MAKEUP」の登録者数が28万人になり、あとひと息で30万人に達成するというところで事務所との間でトラブルが起きた。事態が複雑なこともあり、泣く泣く自身のチャンネルを手放すと、フォロワーと広告収入がゼロになってしまった。
同年、新しくYouTubeチャンネル「KAJIERI CHANNEL」を開設。多くのファンがついてきてくれたこともあり、現在の登録者数は41万人超え。「なんとか乗り越えることができたけれど、自分の大切なものは全て自分で守らなければいけないと学んだ」と苦笑いをしながら答えた。
「私ってYouTubeに雇われているんだ」
「エナモル」をプロデュースするきっかけ
「コロナ禍の2019~20年、緊急事態宣言でメイクする機会が減ったため、何を発信しても再生回数が回らず、YouTubeの収益が大きく落ち込んだ。この手詰まりしていた時期に、私ってYouTubeに雇われているんだと実感。動画以外にもうひとつ何か自分の強み、軸を見つけなければならないと思い、本格的に『エナモル』を始動した」。
「エナモル」は、メイク初心者でもプロのような仕上がりがかなう色味、テクスチャー、実用性を考え抜いたメイクアップアイテムを販売している。主力アイテムは、アイシャドウパレット“ニュアンスカラーアイズ”(全4種、各2420円)で、ニュアンスカラーの4色をレイヤードすることで、目元に自然な輝きと奥行きを演出する。ほかにも、ベースメイクアイテムやハイライター、メイクブラシなどを用意する。