掛布氏が阪神育成ディレクターに就任決定!
言い訳をしない野球を
――掛布さんを招聘するということは球団の危機感の現れでしょう? 「秋季キャンプには、全員出てきますか?と、南社長に聞くと『若手だけだろう』と言う。まず、そこが甘い。1、2軍が一緒にプレーできる機会は、実は秋のキャンプなのだ。そこで一軍のプレーをまじかに見ることで若手は多くの収穫を得る。それがチーム力の底上げというものにつながる」 ――和田監督とも、お話を? 「早い段階で会って話はしたい。私が外から見ている野球と中の人が考えているものは違うし、育成はチーム全体のプロジェクトだから」 ――何から手をつけますか? 「私は、選手にこういう話をしようと思っている。“やらされる野球”ではなく主体性を持った“やる野球”をしよう。やるのは君たち。僕は、君たちが描こうとしている真っ白なキャンバスに、こんな絵の具の色があるよ?と見せてあげることしかできない。押し付けることはしない。やらされる野球では上手くならない。やる野球で何かのきっかけをつかみ、成長を感じれば野球が楽しくなる。すると、それはやる気に変わってくる。そして自分からやる野球ならば、そこに弱音や言い訳というものは存在しなくなる。やらされて言い訳ばかりしている選手にプロを名乗る資格はないと思う」 ――それが、掛布流の指導法? 「中西太さん、山内一弘さんの教えがそうだった。例えゲームで結果が出なくとも練習の中で見える、いいものを褒めて伸ばしてもらった。指導者は、そういう選手の些細な変化や成長を見逃してはならないと思う。そこを見つけて伸ばしてやること。欠点を修正するよりも、長所や個性を伸ばして欠点を補う方が成長につながる。ただ、ほとんどの選手が長所を伸ばしても、欠点を補えないということが、現実問題としてはある。だからこそ指導者は、選手の変化を見逃してはならないし、教える方も教えられる方も納得した上で取り組んでいかねばならないと思う」 ――対話を重視する? 「グランドで、ああしよう、こうしようと教える中での対話でいいと思う。選手も自分はこう考えていると意見をぶつけてくれればいい。それへの答えは持っている」