高度な専門性持つ海外人材に企業が関心 将来の労働力不足へ長野県PTが調査
「高度な知識や専門的な技術を持つ海外の人材なら受け入れる」とする企業が半数以上の56%――。長野県のプロジェクトチームが人口減少社会への対応を探るため実施したアンケート調査でこんな結果が出ました。同県では将来7万人以上の労働力が不足するとされ、外国人労働者の確保も課題。その受け入れでは言語・文化の違いへの対応、生活環境の整備などが迫られるため、県は今後関係部局で具体策の検討に取り組みます。
「日本人のみで充足させたい」も58%
調査は、人口減少に向けた人材確保が課題になるとして県の各部局の職員で構成する「海外人材の活用に関するプロジェクトチーム」で昨年来、実態調査などを行い今月7日、報告概要をまとめました。 長野県の労働力は約107万5000人(2015年国勢調査)で、前回調査より1万8000人の減少。人手不足を反映して2018年1月の求人倍率は全国11位の1.70倍となり、政府目標の経済成長率2%の達成などを仮定すると、2030年には県内で最大7万5000人の労働力が不足すると推計しています。
調査は、労働力不足の対策の一つとして海外人材に注目。県内在住の外国人を調べたところ、製造業などで働く外国人労働者は2014年の1万1000人余が2年後の2016年には1万4000人余へ3000人近く増加。在留外国人も同時期に3万2000人余へ2000人近く増えていました。県内の信州大学などへの留学生も4年間で1.5倍の1688人(2016年)に。 そこで海外人材について県内企業(製造業、建設業、農林業、小売業など)の意向を聞くため2017年5月~8月に1180社を対象に郵送やヒアリングで調査(回答454社。回答率38・5%)しました。 それによると、46%が「人手不足」と回答。「日本人のみで充足させたい」が58%と半数以上でしたが、「日本人と海外人材で充足させたい」も3割近い27%を占めました。過去3年間に海外人材を採用した企業は110社で、約24%でした。 海外人材の採用には慎重な面もある企業ですが「高度な知識や技術を持つ人材」には注目。IT技術者などの「高度人材」や研修生などの「専門人材」については、「高度人材と専門人材の両方を受け入れる」が21%、「高度人材のみ受け入れる」が21%、「専門人材のみ」が14%と、合わせて半数以上が受け入れを回答。特に「宿泊業・飲食サービス業」では受け入れが70%を超え、介護士不足などが表面化している「医療・福祉」分野でも68%を示しました。