今年1年間で発掘した38銘柄から、特に上がった10~4位を大発表!【坂本慎太郎の街歩き投資ラボ】
『週刊プレイボーイ』で連載中の「坂本慎太郎の街歩き投資ラボ」。株式評論家の坂本慎太郎とともに街を歩き、投資先選びのヒントを探してみよう。金のなる木はあなたのすぐ近くに生えている! 街歩き投資ラボで取り上げた銘柄の振り返り 今週の研究対象 街歩き銘柄 2024年総決算 前編 今年1年間で発掘した38銘柄のうち、特にパフォーマンスが良かったのはどれだ? 瞬間的な値上がり率を追跡調査し、4~10位を大発表! 助手 今年も掲載銘柄の「その後」を振り返る時期がやって来ました。 坂本 7月には日経平均が史上最高値の4万2000円超えを達成した。まさかその1ヵ月後に、史上2番目の下落率となる暴落が来るとはね。 助手 当日は震えましたよ。 坂本 暴落の翌日、日経平均はかなり値を戻しました。長期投資を念頭に、想定外の事態が起こっても慌てて売ったりしないことが重要だね。 助手 さあ、今年の値上がり率ランキングを。10位は住信SBIネット銀行。値上がり率は126.91%でした。 坂本 銀行システム関連のインフラと機能を一般企業に貸し出して銀行機能を提供する「BaaS」が好調で取り上げました。今回の値上がりは、NTTドコモによる買収の観測記事が週刊誌に掲載されたから。その真偽はわかりませんが、住信SBIのポテンシャルを考えれば、欲しがる企業が出てくるのも理解できる。 助手 9位は「ラーメン山岡家」を展開する丸千代山岡家でした。値上がり率は129.40%。 坂本 同社は値上げしても客離れが起こらないのが株価上昇の要因だね。豚骨を店内炊きしたスープに根強いファンがいるから。コロナ禍で深夜営業をやめたお店が多い中、同社は24時間営業を続けて新規客の取り込みにも成功している。SNSでのバズも追い風になっています。 助手 8位は値上がり率131.3%を記録した鈴茂器工です。 坂本 世界シェア6割を誇るすしロボットのほか、ご飯盛り付けロボットなどを手がけています。飲食店の人手不足を解消する企業として取り上げました。海外で日本の「弁当」が注目されているのを追い風に業績を伸ばした。今後も期待できます。 助手 では次。北海道のハウスメーカー、土屋ホールディングスが値上がり率131.7%で7位でした。 坂本 北海道でラピダスが建設中の半導体工場で働く人の住宅需要を期待して検討しました。ただ、掲載日は8月の大暴落当日。掲載日が相場の底で、相場の戻りとともに同社の株価も戻った。ラッキーでした。 助手 6位は関電工。値上がり率は132.36%でした。 坂本 東京電力の関連会社の電気設備工事大手です。工事単価が上がって好業績なのが株価上昇につながりました。首都圏では再開発で電気設備工事の需要が高いんですが、最近はどの工事会社も採算性を重視して案件を選別しています。発注者のゼネコンは、もはや工事をお願いする状況。単価上昇はまだ続きそうで、まだまだ期待できる投資先です。 助手 5位は値上がり率136.38%のパルグループホールディングスです。雑貨の「3COINS」とアパレルの会社でしたか。 坂本 そう。日銀の利上げをきっかけに円高追い風銘柄として取り上げました。アパレルも雑貨も輸入品だからね。本来は逆風となる円安でも利益を出せる仕入れ体制を構築して、筋肉質な会社になったことを評価されての株価上昇だろうね。 助手 4位は不二製油グループ本社。値上がり率139.81%でした。 坂本 カカオの使用量を減らせるチョコレート用油脂(CBE)の大手です。カカオ豆の高騰でCBEの需要が伸びたことや、製品の値上げで業績が上向きました。子会社の米ブラマー社の立て直しが成功すれば、業績はさらに伸びる余地があります。 助手 上位3社と相場展望は次回! 今週の実験結果 今年の勝者に共通していたのは「値上げへの対応」でしたね 構成/西田哲郎 撮影/榊 智朗