工事は遅れチケットの売り上げは目標の2割程度...開催まで9ヵ月の大阪万博「問題だらけの現在地」
「開幕まであと9ヵ月……大阪・関西万博に関わる職員の多くが『無事に開催できるのだろうか』と思いながら、目の前にある仕事をひとつずつこなしています。親分肌の松井一郎(60)さんが大阪市長だったころは『何かあれば俺が責任を取るから、とにかく仕事をしろ』という雰囲気がありましたが、今の横山英幸市長(43)や吉村洋文知事(49)にそんな度量は感じられない。不安だけが大きくなっています……」 まるで底なし沼…!大阪“カジノ建設予定地”「衝撃のユルユル地盤写真」スクープ公開 大阪市の職員はそう苦しい胸の内を明かした。いまだ問題が山積し、期日通りの開催が危ぶまれているのだ。 「目玉となる海外パビリオンの工事の遅れは既に昨夏から指摘されていました。各国が独自に設計する『タイプA』は、6月末時点で参加予定の53ヵ国のうち14ヵ国が施工業者すら決まっていない。日本国際博覧会協会は、10月中旬を目安にパビリオンの外装工事を完了させるようタイプAの参加国に要求しているが、スケジュールが非現実的だと非難する声もあがっています」(在阪メディア記者) パビリオンの工事はなぜ、こんなに遅れているのか。この記者によれば「最大の原因は人手不足」だという。 「より予算規模の大きい熊本県のTSMCの半導体工場の建設工事の募集が万博と被ってしまい、そちらに人を持っていかれてしまった。私の知人が万博工事の下請けをしているのですが、熊本の工事に比べると安い日当しか出せず、人が全然集まらないと嘆いていました。現場の作業員が足りなければ、当然ながら工事の進行にも遅れが生じます」 作業員の不足によって地元の施工業者が機能していないことで、施工業者を決められない国が続出しているのだ。 また、工事中にメタンガスが原因の爆発事故が起きるなど、新たな問題も出てきた。会場となる夢洲はかつて産業廃棄物の処分地だった。今後もどんなトラブルが起きるかわからず、安全性が懸念されている。そんななか、大阪市の職員が最も頭を悩ませているのがチケット販売なのだという。 「正直、チケットはまったく売れていません。大阪・関西万博の公式HPで公表されているデータによると、7月12日時点で売り上げはおよそ320万枚。協会が目標とする売り上げが1400万枚ですから、2割程度しか売れていない。 原因は色々あると思いますが、“電子チケットのネット販売のみ”にしたのが一番、マズかった。というのも、会場には1970年に開催された前回万博の記憶がある世代の人が少なからず来るはずで、その世代に電子チケットはハードルが高く、上手く買えていないのです。今回のチケットは会場に入る日程も予約せねばならず、どのパビリオンを回るのかまで事前に決めないといけない。間違いなく、チケット販売にマイナスになっていると思います」(前出・大阪市職員) そもそもなぜ、完全予約制のシステムでチケットが売り出されているのか。大阪市の職員が苦悶の表情を浮かべる。 「交通網が脆弱だからです。もしフリーにして想定を大きく上回る来客があった場合、対応できない。シャトルバスの数も、運転手の数も足りていないのです。それなのに大阪市内の小中学生を万博に無料招待するという案も出ていて……。子供たちにとっては良い経験になるかもしれませんが、生徒の輸送にさえ四苦八苦するでしょう」 無事に開催まで漕ぎ着けられるのか……。開催の日は、刻一刻と迫ってきている。
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