生徒が発案、学祭来場者「電車運賃を学校が負担」の成果 駐車場不足がきっかけ、高知商業高校の挑戦
■コロナ禍で一時中断も4年ぶりに復活 「電車で市商祭へGO!」が最初に行われた2017年度は、来場者数が前年度の約3000人から1.5倍の約4500人に増えた。学校祭でのジュースやおにぎりなど物販売上高は、前年度の約350万円から約570万円に増加した。このうち、電車での来場者は延べ約950人で学校側の運賃負担額は約19万円となったが、その分を差し引いても、約120万円の利益が残り、前年度の約100万円から20万円程度増加した。この結果、学校側が来場者の路面電車の運賃を負担しても、その金額を上回るほどの増収効果があることが明らかとなった。そして、翌2018年度以降も取り組みを継続することになり、2019年度まで学校祭来場者は4500人前後を維持することになる。
さらに、高知商業高校では、2018年度以降は学校祭以外のイベントでも来場者の路面電車運賃を負担する取り組みもスタートさせた。しかし、新型コロナウイルスの影響により、2019年を最後に、市民を招いての学校祭の開催ができなくなり、「電車で市商祭へGO!」の取り組みは中断せざるをえなくなる。 その後、コロナ禍を経た2023年9月、4年ぶりに市民を入れての学校祭が開催されることが決まった。「電車で市商祭へGO!」を知る生徒はすでに全員卒業していたが、当時を知る教員が生徒会に対して、集客方法のヒントとしてこうした取り組みがあったことを伝えると、「電車で市商祭へGO!」プロジェクトは再始動することとなった。
プロジェクトリーダーを務めた総合マネジメント科3年(取材時点)の黒田真由さんは、「プロジェクトの概要を全校生徒にわかりやすく伝えることに苦労した」と振り返るが、「とさでん交通」と共同で行った学校祭をPRするイルミネーション電車イベントでは新聞社からの取材にも対応した。 こうして、4年ぶりに復活した「電車で市商祭へGO!」。プロジェクトメンバーの誰もが、「コロナ禍による行動制限がなくなったことから多くの来場者があるだろう」と見込んでいた。しかし、ふたを開けてみると結果は異なっていた。学校祭への来場者は、約3800人とコロナ前の4500人前後から大きく下回ることとなった。なお、このうち、路面電車での来場者は延べ約730人だった。