【社説】トランプ氏相手の韓国外交、共感幅広げて不確実性に対応を
米大統領選挙は不服なくトランプ共和党候補の勝利で終わった。トランプ氏は選挙の翌日、主要国の首脳らと電話をしたが、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領とは12分間の対話をした。最初の意思疎通が予想より早く行われたのは幸いだが、安全保障・経済などいくつかの面でトランプ氏2期目のリスクの不安感を解消するには依然として心配が多い。 任期の後半期を共にする尹大統領とトランプ氏は電話で、韓米日協力と韓米同盟、北朝鮮のウクライナ戦争派兵状況などについて議論し、早期に時と場所を決めて会談することに合意した。トランプ氏が「尹大統領と早期に会いたい」と述べただけに、来年1月20日の就任前にも会談が実現すればさまざまな面で有益な意思疎通になるだろう。 政権交代期には意思疎通のタイミングも重要だ。張虎鎮(チャン・ホジン)大統領外交安保特別補佐官が特使に挙がっている中、尹大統領は10日からペルーで開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会談に出席する。その前にフロリダのマー・ア・ラゴ別荘を訪問するカードを検討するのはどうだろうか。個人的な関係を特に強調するトランプ氏の性向を考慮すれば、期待以上の成果が出る可能性もある。 トランプ氏は就任まで政権移行委員会が稼働する75日間に国家安全保障と情報関連の重要なブリーフィングを受ける。その前に韓米同盟の懸案と厳しい韓半島(朝鮮半島)安保状況などに関してトランプ氏側にどのようなメッセージが入力されるのかが非常に重要だ。したがって国家安保室・外交部・国防部・国家情報院と在米大使館などは人的ネットワークを総動員し、トランプ氏側と緊密に意思疎通をする必要がある。 韓国の立場ではバイデン政権の過去4年間に北朝鮮が核・ミサイルをどれほど高度化したかをトランプ氏側に正確に知らせなければいけない。韓国政府を排除して北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長と直接取引しようという動きを自制するべきという立場も伝えなければいけない。何よりも新政権が非核化を飛び越えて核軍縮に直行する状況だけは防ぐべきだ。 トランプ氏は「大統領になれば24時間以内にウクライナ戦争を終わらせる」と公約した。終戦は言葉で話すほど容易でないが、トランプ政権に入れば戦争の様相が大きく変わる可能性がある。したがって尹錫悦政権はウクライナへの武器支援関連の立場表明は最大限に自制するのがよい。さまざまな可能性は残しておいても、トランプ政権2期目の立場を正確に把握した後に決めるのがプラスとなる。トランプ政権2期目の対外戦略がどのように流れるかはまだ不確実性が多い。それだけに尹政権は積極的に接触・説得するものの、すべてのことを慎重に判断することが求められる。