<高校サッカー>コンゴDNAで矢板中央が逆転勝利!
森本と星はともにコンゴ人の父をルーツにもち、日本で生まれ、栃木県で育った。父親同士に親交があったこともあり、もの心がついたときから2人もよく遊ぶようになった。 小学校時代はお互いに陸上をちょっとだけかじった後は、森本は放課後になればまっすぐに帰宅し、星はカードゲームに夢中になった。そろって南河内二中に進んだとき、森本はサッカー部に入る決意を固める。 「2つ上の兄がやっていたので、サッカーそのものは好きだったんです。テレビでよく見ましたし、レアル・マドリードのベンゼマ選手が好きです。キョーワァンとも、よく一緒にボールを蹴っていました」 バスケットボールに魅せられかけていた幼馴染みの星を、半ば強引に誘ってサッカー部の門を叩く。当然ながら、周囲のレベルについていけない。リフティングにトライすれば、最初は「10回と続かなかった」と森本は苦笑いで振り返る。 それでも、2人にはテクニックの拙さを補って余りある、もって生まれた身体能力の高さがあった。中学3年生の春、夏と県大会で優勝。その原動力になった守備の星、攻撃の森本に、2009年度大会で全国ベスト4に入った実績をもつ地元栃木県の名門・矢板中央から声がかかる。 「最初は自分たちにそんな実力があるとは思っていませんでしたし、ヒマンとは『普通に県立高校に行ってサッカーをしようか』と話していたんですけど。憧れの高校でしたし、嬉しかったですね」 3年前を振り返る星を、高橋監督は「最初は本当に下手くそでした」と目を細める。 「今日の試合を見てもわかるように、左足のキックがまだまだ全然ダメでしょう。それでも星は3年間、ずっと左足のキックを練習してきましたから。下手だったけど、身体能力はものすごいものがある。正確に測ったことはないけど、森本もものすごく跳びますから。我々がやってきたことは、彼らが高校サッカーで終わらないように、上のカテゴリーへ行っても活躍できるような環境を整えてあげることでした。性格は星が真面目で、森本が穏やか。タイプ的にちょうどDFとFWに分かれた感じですね」