<ボクシング>激闘王、八重樫が再起戦即3階級を狙い世界戦。「ロマゴン戦の再来を期待しないで」。
前WBC世界フライ級王者で同ライトフライ級3位の八重樫東(31歳、大橋)が、12月30日に東京体育館で、WBC世界ライトフライ級王座決定戦に出場、同級1位のペドロ・ゲバラ(25歳、メキシコ)とタイトルを争うことが9日、発表された。 八重樫は9月にローマン・ゴンザレス(ニカラグア)と壮絶な激闘の末、力尽きTKO負けをして世界ベルトを失ったが、今度は、1階級を下げて、再起戦、即、3階級制覇をかけた世界タイトル戦となった。同王座はジムの後輩である井上尚弥が返上したベルトで、3階級制覇に成功すれば、亀田興毅(ユナイテッド)に次いで日本人ボクサー2人目の快挙。 この日、会見に出席した八重樫は、「あんな負け方をしたのに、たくさんの方々からありがたい言葉をもらった。再起戦ですぐに世界戦ができるのは、大橋会長をはじめ応援していただいた皆さんのおかげ。そういう気持ちに応えたい。僕は運があるし幸せもの」と目を細めた。 対戦相手のペドロ・ゲバラは、25戦23勝(15KO)1敗1分の戦績を誇る長身のオーソドックススタイルのボクサーファイター。現WBCライトフライ級シルバー王者で、2012年にはIBF世界ライトフライ級王者、ジョンリル・カシメロに挑戦したが初回にダウンをしたことが響き1-2のスプリット判定で敗れている。 大橋会長は、「強敵です。リカルド・ロペスにそっくりの部分を持つボクサー」と、かつて自らも拳を交え、無敗のままで引退した伝説のボクサー、元WBC・WBA・WBO世界ミニマム級王者、元IBF世界ライトフライ級 王者のリカルド・ロペスを持ち出して警戒を強めた。 軽快なステップワークから、左のジャブ、ワンツーを基本にリズムよくボクシングを組み立ててくる。ガードが固く、ステップバックも早いので被弾するケースは少なく、スピードを生かしてポイントアウトを重ね、チャンスとみると畳み掛けてくる。メキシカンらしく左ボディも上手い。 ある意味、八重樫とは対照的なスタイルのボクサー。松本好二トレーナーも「距離とステップで間合いを作ってくる。下手をすれば、うまく交わされて逃げ切られてしまう危険性がある」という。確かにゲバラがチャンピオンだと防衛に徹するボクシングをされて八重樫の攻撃が空回りしてしまう怖さもあるが、決定戦ゆえにゲバラもある程度は出てくるだろう。そういう展開になれば八重樫が持ち前のパワーで粉砕。KO決着も十分にあると見る。