渋沢栄一の未来志向が「見えない未来」を切り開く──ミレニアル世代・Z世代はグローバルではマジョリティ、大きな可能性が広がる
ボリュームゾーンの会社の変化が重要
──「メイド・ウィズ・ジャパン」はポジティブなメッセージです。 渋澤:その中で、日本企業、特に日本の大企業はものすごく変化すると考えています。人口動態が急激に変わり、昔は大企業に優秀な人材が集まり、定年まで囲い込んでいましたが、そもそも若い世代が少なくなっています。そして優秀な若手はもう官庁や大企業を目指すのではなく、起業したり、ベンチャーを指向している。大企業に入ったとしても、新しい目標が見つかれば、すぐに転職する。それがますます当たり前になっていきます。 会社の定義も変わる可能性が十分あります。人事の考え方も新卒一括採用・年功序列・終身雇用という昭和の成功体験は終わっています。これは多分、経営者は理解していますが、。採用の現場まで伝わっていません。日本企業に求められているダイバーシティは、ジェンダーや国籍だけでなく、年代や世代のダイバーシティも必要ではないでしょうか。 そうしたことがわかっている会社は時代の変化とともに変化しています。ですが、変化はわかっているけれど変化できていない会社と、変化に気づいていない会社がまだ存在しています。 そして実は、2つ目の「変化はわかっているけれど変化できていない会社」がボリュームゾーンで数が多く、これから面白い存在になると思っています。そうした会社が変化していくことが、これからの日本には非常に重要です。変化できなければ、日本はフェードアウトしていくでしょう。 ──ボリュームゾーンの企業が変化していくには、何が必要でしょうか。 渋澤:常識の破壊です。例えば、永田町では自民党の派閥も破壊されつつあります。まだ不十分という報道も見られますが、かなり大きなことが起きていると思います。いろいろな場所で、いろいろな変化が起きています。そうした変化に気づいて動けるかどうか。必要なのは、主体性です。 トップの主体性はもちろん、働く人すべてが主体性を持ち、こういう制度だから、慣習だからとか、「空気を読む」とかではなく、主体性を持って動くことが大切です。 海外に行くと、日本に対する関心が高まっていることを実感します。「一緒に何かやろう」という声が増えている感じがします。日本はマクロで見ると、非常につまらない国に見えるのですが、ミクロで見ると、いろいろな面白さがあって、だからこそ今、海外から多くの人が訪れています。海外の方が日本の面白さに気づき始めています。そのときに「持ち帰って検討します」では通用しません。せっかくの大きなチャンスを逃してしまいます。 また、ニューヨーク・タイムズが「2024年に行くべき52カ所」を発表し、山口市が3番目に紹介されたことが驚きとともに伝えられました。新しい時代に入ってきている今、もう自虐的な論調、日本はダメだみたいな言い方はやめた方がいいと感じます。