藤井聡太八冠、タイトル戦17連勝ならず「仕方ないかな」 叡王戦五番勝負、伊藤匠七段に敗れる/将棋
将棋 第9期叡王戦第2局(20日、石川県加賀市・アパリゾート佳水郷)藤井聡太叡王(21)=8冠=が先手の伊藤匠七段(21)に87手で敗れ、対戦成績1勝1敗でタイに戻った。タイトル戦の連勝記録で1961~62年に17連勝を達成した故大山康晴十五世名人と並ぶ歴代1位に王手をかけていたが、単独2位の16連勝でストップ。新記録達成はならなかった。4連覇に向けて気持ちを切り替えて次戦に臨む。 【写真】対局に臨む藤井叡王と伊藤七段。伊藤七段の初勝利で同学年対決は盛り上がりを見せるか 同学年棋士にタイトル戦初白星を献上し、新記録達成を阻まれた。両者が1分将棋になり、負けを覚悟して天を仰ぎ、グラスに入った水を飲んだ藤井叡王は午後6時20分、投了。「もう少し違う勝負手を掘り下げるべきだった。(連勝ストップは)仕方がないかなと思っています」と落ち着いた口調で話した。 藤井叡王は、大山十五世名人が持つタイトル戦連勝記録歴代1位の17連勝に王手をかけていたが、昨年9月12日の王座戦第2局から続いた16連勝でストップ。タイトル戦では8カ月ぶり、王座戦で史上初の全8冠独占を達成後は初の黒星だ。 伊藤七段とは小学3年時、将棋大会で負けて泣かされたエピソードで知られる。自身より4年遅れてプロ入りした伊藤七段を竜王戦、棋王戦と立て続けにストレートで退けたが、3度目の挑戦を受ける叡王戦で公式戦初黒星。第2局は両者得意の角換わりを受けて立ち、序盤から新たな工夫を見せたものの、「手厚く受け止められて最後はきっちりカウンターを合わされてしまった将棋だった」と反省。後手番での叡王戦は今回は7局目で、1勝4敗2千日手と苦戦を強いられている。 対局が行われたホテルの最寄りは、3月16日に敦賀~金沢間が延伸開業した北陸新幹線の加賀温泉駅と活気づく。鉄道好きで知られる藤井叡王は敦賀から北陸新幹線に乗って現地入りし、過去3戦全勝だった相性のよい石川対局に臨んだが、石川では初黒星を喫した。 現在、豊島将之九段(33)の挑戦を受け、初防衛を目指す名人戦七番勝負も進行中で、中2日の23、24日に千葉県成田市で指される第2局で開幕2連勝を目指す。叡王戦の第3局は5月2日に名古屋市で行われ、勝てば4連覇に王手をかけ、負ければカド番になる大一番だ。 「今後も対局が続くことになるのでまずはいいコンディションで対局に臨めるようにしていきたい」。シリーズを制すると4連覇で、2017年度からタイトル戦に昇格した叡王戦で初の永世叡王(通算5期)の資格獲得に王手をかけることになり、話題は尽きない。
◆タイトル戦初勝利となった伊藤匠七段 「早い段階で前例の少ない将棋になり、手繰りで指していた。勝てていなかったので1つ結果が出たことはよかったが、まだ番勝負は続くので、引き続き頑張りたい」