特殊金属エクセル、超微細粒ステンレス鋼「nanoSUS」の製造可能範囲を拡大。適用製品も拡充
特殊金属エクセル(本社・東京都豊島区、社長COO・水谷徳次郎氏)は、金属組織の結晶粒径を1マイクロメートル程度まで微細化させた超微細結晶粒ステンレス鋼「nanoSUS」の製造可能範囲を拡大した。同社のコア技術である冷間圧延と熱処理技術の向上により、製造可能板厚を20%拡大した。加えてnanoSUS適用製品ラインアップも拡充し、新たな用途への拡販を推進している。 nanoSUSは高強度、精密加工性、高疲労特性、高加工性などを兼ね備える超微細結晶粒ステンレス鋼。一般的に超微細結晶粒を得るためには高い加工率を必要とするため、製造可能範囲には制約があった。より環境負荷の小さい製造プロセスを実現し、製造可能板厚(従来は通常最大0・2ミリ厚)を拡大した。 適用製品のラインアップも拡充した。従来は準安定オーステナイト系ステンレス鋼であるSUS304やSUS301が主対象だったが、SUS631など析出硬化系ステンレス鋼やニッケル基合金への適用も可能にした。精密プレス加工やエッチング加工など厳しい加工精度が求められる用途に適している。析出硬化系は車部品やダイヤフラム向けなどでサンプル出荷を行っている。 超微細結晶粒を有する金属材料は、強度や疲労特性の改善に加えて、プレス加工時のバリやダレ、肌荒れの軽減効果が得られる。この効果を活用して液体噴射用オリフィス用途においては液体噴射ばらつきの低減に寄与している。同社は「今後、電子機器などの内部部品の小型・高精密化に対して、耐久性と加工性に優れるnanoSUSの適用が期待される」としている。