センバツ2024 創志学園 本塁遠く /岡山
阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)で開かれている第96回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)第7日の26日、創志学園(岡山)は2回戦で山梨学院(山梨)に0―4で惜しくも敗れた。初の8強入りはならなかったが、大会連覇を狙う強豪相手に中盤以降互角に渡り合ったナインに対し、観客席から惜しみない拍手が送られた。【山口敬人、小坂春乃】 【写真で見る歓喜の瞬間】歴代のセンバツ覇者たち 創志学園の門馬敬治監督が先発マウンドに送り出したのは2年生左腕の明星大翔だった。公式戦初先発。母修子さん(47)は「後ろでみんなが守ってくれている。とにかく自分の投球をしてほしい」と見守った。 一回、先頭打者を100キロ台の緩い球をうまく使って空振りの三振に切って取る。次打者を中前打で出すが、リードの大きい走者を先発マスクの小西太陽(3年)が矢のような一塁送球で刺す。「足は警戒していた。満足のいくプレーだった」と胸を張った背番号12。スコアボードに「0」、上々の立ち上がりだった。 しかし、二、三回と5長短打に四球もあって計4失点。小西は「相手の振りが鋭かった」と舌を巻いた。 四回以降は2枚看板の右腕・中野光琉(同)、1回戦で完封した左腕・山口瑛太(同)とつないで追加点を許さない。応援団長の阪峯翔さん(同)が「まずは1点。最後に勝つのは創志」と声援を送れば、ブラスバンドは今大会でお披露目したオリジナル応援曲「Ambitious SOSHI」でグラウンドの選手を後押しした。 なかなか相手投手を攻略できなかったが、九回にアルプス席の応援団が熱くなる。主将・豊島虎児(同)の二塁打などで2死一、三塁。残念ながら一矢報いることはできなかったが、粘りと積極性という創志学園らしさを随所に見せた試合だった。 ……………………………………………………………………………………………………… ■熱球 ◇アグレッシブに攻め続け 秦知也選手(3年) 九回2死一、三塁。「このままで終われない」と打席に入った。初球、バットを振り抜いた。だが、強いゴロは投手のグラブに。表情を変えることなく一塁ベースを駆け抜けたが、本音は「めちゃくちゃ悔しかった」。 兵庫県の淡路島出身。OBの西純矢投手(プロ野球阪神)に憧れ、「同じユニホームで甲子園に行きたい」と進路を決めた。希望通りに進学したもののけがに泣いた。右肘の靱帯(じんたい)断裂など練習のできない期間も長かった。今も昨年痛めた左膝にサポーターを巻いてプレーしている。 それでも1回戦で2盗塁に先制犠飛。この日も二回に死球で出塁すると、アウトになったものの次打者の初球に二盗を試みた。打っても走っても、いつも根底には門馬敬治監督の掲げる「アグレッシブ・ベースボール」がある。 昨秋は出番がなく、公式戦の本格デビューがセンバツの大舞台。「個人的にはチームのためのプレーはできたと思う」と言いながら、「三塁の守備などより精度を上げて夏に戻ってきたい」と前を向いた。