ロシアは“原子力外交”で新興国と「終わらない関係」を築きはじめている
新興国でロシアが原子力発電所を建設する動きが広がっている。ロシアの原子力エネルギー外交によって、世界のエネルギー勢力図が変わろうとしている。 【画像】ロシアは“原子力外交”で新興国と「終わらない関係」を築きはじめている
ロシア語が飛び交うバングラデシュの町
バングラデシュ西部の地方都市ループルでは、ロシアの存在感が急速に拡大している。通りにはロシア語の看板が並び、食品市場で並ぶ野菜にもロシア語の記載があり、病院でもロシア語で診察が受けられる。 なぜロシアから遠い地であるバングラデシュでロシア語が町にあふれているかというと、ロシア国営の原子力企業ロスアトムが、この地でバングラデシュ初の原子力発電所を建設しているからだ。2400メガワットの発電能力を持つループル原子力発電所は、近く試験運転を開始する予定だ。 この発電所は、深刻な電力不足に悩むバングラデシュにとって、必要不可欠なエネルギー供給源となると、英「フィナンシャル・タイムズ」紙は報じている。特に輸出に依存する繊維産業を支えるために必要不可欠な電力源だ。 この発電所によってバングラデシュのエネルギー・ポートフォリオは多様化し、原子力発電の比率が10年以内にゼロから10%にまで引き上げられる見込みとなる。この原子力発電所はバングラデシュの電力不足を解消して経済成長を支える重要なインフラであると同時に、ロシアの地政学的影響力を強化するものとなる。
COURRiER Japon