豊洲市場開場まで半年 追加対策工事は順調も残る課題
10月11日の豊洲市場(東京都江東区)開場まで、あと半年を切った。東京都は、豊洲市場における土壌汚染の追加対策工事など、移転に向けた準備を進めるが、水産仲卸業者の中には、交通アクセスや集客など営業面での不安をもらす声も出ている。 【画像】豊洲市場「千客万来」着工見通し立たず 都の協議に進展なく
7月には追加工事が終了
豊洲市場では現在、土壌汚染の追加対策工事が進む。この工事は、土壌汚染対策として本来行われるはずだったのに行われなかった主要建物下への「盛り土」の代替策だ。 築地市場(東京都中央区)から豊洲市場への移転は当初、2016年11月7日の予定だった。その年の8月、東京都知事に就任した小池百合子氏は豊洲市場の安全性への懸念などを理由に移転延期を決定した。 その直後に盛り土問題が発覚。豊洲市場の土壌汚染対策を検討する専門家会議が提言していた盛り土がなされておらず、対応策を議論するために再び招集されることになった。同会議は計6回の会合を開き、昨年6月に「地下ピット地面のコンクリートによる遮へいと換気の実施」「地下水管理システムの機能強化」などの追加の土壌汚染対策を都に提案。都はこれらを採用した。 追加対策工事の工期は、もっとも終了が遅い工事で7月12日までの予定。都の中央卸売市場新市場整備部によると、工事はいまのところ大きな遅れもなく、おおむね順調に進んでいるという。工事終了後は、専門家会議による豊洲市場の安全性の確認が行われ、農林水産省への認可申請を経て、豊洲市場は開場する。 昨年12月から今年2月に行った豊洲市場の地下水調査では、最大で環境基準130倍のベンゼンが検出された。昨年9月の調査では160倍で、それよりは下がっているが依然高い水準ともいえる。ただ大気調査では、環境基準を超えた地点はゼロだった。都は「地下水は使う予定がない」として安全性に問題はないとしている。専門家会議も「建物1階の空気と地上の大気は、科学的な安全が確保された状態にある」「(地下水も)全体的に見れば、大きく汚染状況が変化した傾向は確認できない」との見解だ。 専門家会議は、追加対策である地下水管理システムの機能強化に関し、「目標管理水位まで水位低下を図っている途中」だ説明し、モニタリング調査を継続していくとしている。