「徳山の奥座敷」へおいでませ 周南市の湯野温泉に新温浴施設 日帰り利用もOK
温泉郷の再生を地域ぐるみで進める山口県周南市湯野の湯野温泉に、日帰り客も入れる新たな温浴施設が完成した。旅館の芳山園が本館近くに新築した「芳和の湯」で、露天風呂やサウナを設けた。新型コロナウイルス禍を乗り越え、事業者たちは湯巡りや食べ歩きを楽しめる観光地づくりに力を注ぐ。芳山園は「気軽に入れる。近郊に加え、県外からの入浴客も増やしたい」としている。 【写真】自然な質感を重視し、木造にした芳和の湯【地図】湯野温泉 新施設は平屋約420平方メートルで、質感を重視して木造にした。天井高が5メートル強あり、大型の風呂や水風呂を整備。露天風呂や陶器の浴槽を屋外に配置した。サウナの一部は、熱した石に水をかけて蒸気を発生させる「ロウリュ」を取り入れた。投資額は約3億円。 宿泊と立ち寄りの兼用で、1日にプレオープンした。本格的な営業開始は今月下旬だが、既に入れる。本館の浴場は古くて手狭にもなっていたため使用を止めた。食事用の個室に改修する方針。 一帯の泉質は弱放射能・アルカリ性硫黄泉。古くから湯治で知られ、明治時代の日露戦争の際は負傷兵の療養地となった。「徳山の奥座敷」として親しまれたが、市によると2009年以降、民宿や旅館計6軒が閉鎖。宿泊できる施設は2軒にまで減った。 事業者たちは昨年来、国の補助も生かして地域全体の魅力向上を進めている。今春にはカフェや風呂を備えた観光振興拠点施設「湯や晴(は)ル音(ね)」をオープン。もう1軒の旅館、紫水園も客室や玄関を改装した。飲食事業を強化した店舗もある。 芳山園にとり、大規模な新築は1961年の開業以来初。年約4万5千人の立ち寄り客を7万人に増やしたい意向だ。竹永富夫取締役支配人(56)は「健康や美肌の効果があるとされる。自然豊かな湯野の風景にも癒やされるはず」とアピールする。立ち寄りは平日950円(3歳~小学生450円)、土日祝日1100円(同550円)。木曜と第3水曜定休。☎0834(83)2255。
中国新聞社