田中博調教師（右）にレーベンスティールについて聞いた栗栖記者

［ＧⅠ天皇賞・秋＝２０２４年１０月２７日（日曜）３歳上、東京競馬場・芝２０００メートル］ 【新人記者・栗栖歩乃花のトレセン日記】 　　天皇賞・秋に母父にトウカイテイオーを持つレーベンスティール（牡４・田中博）が出走します。祖父が１番人気７着に敗れた舞台（１９９２年）で勝利をつかむことができるのか、注目が集まります。 　レーベンスティールを管理する田中博調教師は前走ＧⅡオールカマーについて「この子にとって過酷なレース」と表現してくれました。それは「中山の２２００メートルの内枠スタートでレース展開はスロー」だったことが要因だそう。それを聞いて思い出したのはルメール騎手の「休み明けで、道中ひっかかりました」という言葉です。馬群の中でなだめるのに必死…決してスムーズな競馬ではなかったのにきっちりと勝利を手にしたのです。 　そんな課題を残しつつも勝つことができる理由を田中博調教師に伺ってみると「能力だと思います」とシンプルにひと言。続けて「窮屈な中、気持ちよく抜け出せないと思うんですよ。その中で、一瞬でも、なんとしてでも抜け出そうとする馬の活力と気力が武器です」。その気持ちにさせるのには鞍上の役割も大きいと思っていましたが、レーベンスティールは自らその闘志を燃やしています。「“こちら（人間）が動かすから動く”というよりも本能で動いていますね。競走馬としての素質は高いです」と天性の勝負根性を持っているのです。 　そんなレーベンスティールには今回、調教に初めてルメール騎手が騎乗しました。１週前追い→今週の最終追いと２週続けてコンタクトを取り、「今日は先週より手応えがいいです」と好感触を伝えてくれました。１週前追いの後に鞍上から師に「加速に時間がかかる。スローだね」と話があったそう。その原因は前走後に変更したハミにあったようで、１週前追いの時点では「舌を大きく出すしぐさを見せて加速できずにタイムラグにつながりました」と田中博師。それを受けて「ジョッキーとも相談してオールカマーと同じハミに戻しました」とのこと。今週は「カーブで内に出して、すぐにハミを取り加速してくれました」とルメール騎手も確かな変化を感じ取ったようです。 　師も鞍上も「チャレンジャーの立場」と言いますが、取材をしていると他馬に劣らない強さを持っていることが分かります。あとは「競馬場での当日の雰囲気が重要ですね」と担当の飯塚助手。「厩舎ではおとなしくて手がかからない子ですが、パドックの雰囲気が苦手なのかイレ込む」と精神面の課題を挙げてくれました。ただ「前走は落ち着いて歩けていたので」と笑顔。どんな課題も「走る」という強い気持ちで乗り越えてきたレーベンスティール。国内初ＧⅠでも他馬に負けじと勝利をつかんできてほしいです。