日本一から休息3日で再始動 DeNA・東克樹の言動ににじむエースの風格
【球界ここだけの話】DeNAが日本一に輝いた4日後のことだった。大黒柱としてチームを支えた東克樹投手(28)の姿が、神奈川・横須賀市の球団施設にあった。主力の休養日は続いており、2軍の若手が自主練習を行う期間だった。 【写真】山本祐大が〝相棒〟離れを決意 「東さんから独り立ちしたい」 「体が勝手に動きたくなっちゃうんです。家でゴロゴロするより動いた方がいい。しっかり睡眠を取って、3日も休みましたから」。そう話す東の表情に疲労の色はなく、来季へのやる気がにじんでいた。 今季は26試合に登板し、13勝4敗、防御率2・16。両リーグ最多の183イニングを投げた。10月12日の阪神とのクライマックスシリーズで左太もも裏の肉離れを負ったが、故障から中16日の登板となった同29日のソフトバンクとの日本シリーズで7回10安打を浴びながら1失点と力投。4連勝の起点をつくり、頂への道筋を示した。 昨季まで先発陣を支えた今永が米大リーグのカブスに移籍し、その穴を埋める存在として期待を背負ったシーズンだった。「長いイニングを投げて、なおかつ試合をつくる」。これが、東にとってのエースの定義。今季の成績に照らし合わせれば、まぎれもなくエースといえる。 16勝で最多勝に輝いた昨季から自身初となる2年連続の2桁勝利を挙げた。それでも、満足感はない。なぜなら「3年間しっかりと結果を残すことが目標」と高みを見据えているからだ。日本一の余韻に浸ったのもつかの間、すぐに再始動した背景には、来季も継続してこそ一人前という信念があった。 来季は30歳になるシーズン。「30歳を超えた人たちから1回体にくるという話を聞いている。そうならないために、しっかり準備をしないと」と自らを律する。同じ左腕では中日一筋で50歳まで現役を続けた山本昌、45歳になる来季もヤクルトでプレーする石川ら息の長い投手がいる。「そこには何か秘密があるんじゃないかと思う。けがをしないことが一番」。その言動にエースの風格がにじんだ。(鈴木智紘)