映画「ら・かんぱねら」完成 ピアノの難曲を独学で習得した佐賀市ノリ漁師をモデルに 主演俳優・伊原剛志さんら舞台あいさつ
ピアノの難曲を独学で習得した佐賀市川副町のノリ漁師徳永義昭さん(64)をモデルにした映画「ら・かんぱねら」の完成試写会が17日、佐賀市で開かれた。資金調達や撮影スタッフへの炊き出しなど市民が映画製作を支えたことでも話題を呼んだ。主演の伊原剛志さんら俳優陣に加え、徳永さんと妻の千恵子さんが舞台に立つと、支援者約1200人から大きな拍手が起こった。 映画は、52歳でピアノを始めた徳永さんが、リストの難曲「ラ・カンパネラ」を独学で習得した実話に基づく。人生を懸けた中年男の挑戦を支えた家族愛や、仲間との絆を描いた。撮影は佐賀市を中心に行われ、ノリ漁の厳しい現場が細やかに描写されている。 地元では映画を支援する会が立ち上がり、広報活動や資金調達、ロケ場所の紹介、炊き出しなどで撮影スタッフを支えた。登壇した徳永さんは「誰一人が欠けてもここまでの映画は完成していない。『支援する会』の皆さんの支えに心からお礼を述べたい」と涙を浮かべながら感謝した。 鈴木一美監督は「皆さんに育てていただきながら寿命の長い映画にしていきたい。いずれは全国の学校での上映会も目指したい」と意気込みを語った。 上映後の舞台あいさつで、主演の伊原さんは猛特訓を積んで臨んだピアノの練習シーンの裏話などを紹介し、「僕のできる100%の力を出した。まずは佐賀から盛り上げていただき、映画に熱い火をつけてほしい」と呼びかけた。 映画は、来年1月31日から佐賀市のイオンシネマ佐賀大和で先行上映される。2月下旬から福岡県のイオンシネマ4カ所と熊本県のイオンシネマ熊本を経て、全国に展開し、5月から東京でも上映する。(坂本有佐)
坂本有佐