「蛇の道」完成披露試写会の様子。左から黒沢清、西島秀俊、柴咲コウ、青木崇高。

映画「蛇の道」の完成披露試写会が本日5月20日に東京・グランドシネマサンシャインで行われ、キャストの柴咲コウ、西島秀俊、青木崇高、監督の黒沢清が登壇した。 【動画】映画「蛇の道」予告編（他9件） 全編フランスロケ、フランス語にて撮影された本作は、愛娘を殺され復讐を誓った父親が、偶然出会った精神科医の協力を得て、真相を暴いていくさまを描いたサスペンス。柴咲がフランスで働く精神科医の新島小夜子、ダミアン・ボナールが復讐に燃えるアルベール・バシュレを演じ、西島が小夜子のもとに通う患者・吉村、青木が小夜子の夫・宗一郎に扮した。 1998年に自身が発表した同名映画をセルフリメイクした黒沢。「（オリジナルは）哀川翔さん主演で、脚本は高橋洋が書いたんです。普遍的な復讐物語で自分でもよくやったと思っているんですが、高橋洋の映画になった。ひとつの傑作だと思っているんですが、もう一度自分の色に染め直したいと思ったのがきっかけです」と制作の経緯を伝える。そして、「観てのお楽しみなんですが、柴咲さんの動きがすごいんです。獰猛です。『バトル・ロワイアル』を超えたんじゃないですか？ 柴咲コウってこんなに動けるの？って。肉体のものすごさ。必見に値します」と言葉に力を込めた。 柴咲は撮影を振り返り「監督の人柄もあって、お互いをリスペクトしている空気感がありました」と述べ、「クランクイン前に懸念を払拭したいがために、あれもこれも監督に聞きたいモードになってしまって。愚問だったなと思っています」と回想。西島が「（柴咲は）最初からスタッフの方とフランス語で会話されていて、話せるんだ！と思ったんです。でも、この作品のために勉強したと聞いて、驚いて。相当努力される方。フランス語のセリフも、ナチュラルに話されていました」とたたえると、柴咲は「ハードルが上がっちゃう。フランス語が話せる人になっちゃうんで（笑）」とはにかむ。また青木が「カメラの前に立たれている姿が、パリでしっかり生活している女性になっていて、驚きました」と言及すると、柴咲は撮影の1カ月ほど前からフランスで生活を始めたことに触れつつ「付け焼き刃感が出たら嫌だなと思ったんです。だからマルシェで野菜を買って、キッチンで料理をして、そんな日常を重ねていきました」と役作りへのこだわりを明かした。 イベント中盤には本作の物語にちなみ、リベンジしたいことを登壇者が語る場面も。西島は「今、役作りで体重を落とさなきゃいけなくて。あと1日なんですが、ドーナツ、ケーキ、いろんなものを食べたいです！ 何から食べようかなと。プリンもいいし、マカロンもいいし、高カロリーなものを食べたいです」とにこにこ話す。黒沢は「『蛇の道』の撮影以前にもパリには何度も行っているんですが、凱旋門もエッフェル塔も上ったことがないんです。ヴェルサイユ宮殿は見たこともない。悔しいのでちゃんと観光したいです」と意気込んだ。 最後に柴咲は「フランスに先駆けて、まずは日本で皆さんに観てもらえてうれしいです」とコメント。黒沢は「フランスで有名な一癖も二癖もある俳優たちが次から次へと出てきます。彼らの中で柴咲さんがどのように立ち回り、どのように手なずけ、彼らをだまして、どこに連れていくのか？ 恐ろしい柴咲コウが観られると思います」と期待を煽り、イベントの幕を引いた。 日仏共同製作映画「蛇の道」は6月14日より全国で公開。 (c)2024 CINÉFRANCE STUDIOS – KADOKAWA CORPORATION – TARANTULA