新幹線ストップ、さてどうする? 連携プレーに心意気
京都でいったん改札を出て、券売機に並んでいると「サンダーバードで敦賀に行かれる方はいらっしゃいますか」と駅員が呼びかけていた。本来乗るはずだった39号の約20分前に、臨時の91号(京都17時49分→敦賀18時45分、全車自由席)が走るらしい。「それなら始発の新大阪から乗れば確実に座れたか…。京都でも空席があればいいのだが」と心配したが、到着した6両編成の列車は予想に反してガラガラ。京都を出ると次は終点敦賀なので、余裕の移動だった。 その先も臨時の新幹線、はくたか696号(敦賀19時03分→東京22時20分)が増発されていて、敦賀では大勢の駅員の誘導に従って真新しい新幹線ホームに止まっている列車に乗り込んだ。こちらも混雑はまったくなく、特にグリーン車は1両に乗客5、6人というすき具合。車内販売がないので、持ち込んだペットボトル半分のお茶を飲むだけでだいぶおなかは減ったが、東京まで直行3時間を超える車中はとても快適だった。
サンダーバード、はくたかの増発はこの列車を含め上下各1組。JR東海のピンチを前にJR東日本、西日本が救いの手を差し伸べたと言えそうだ。後から時刻表で調べたら、もともとこの時間帯には多客期のための臨時列車の「スジ」が設定されていて、車両や乗務員が確保できれば増発はさほど難しくはなかったかもしれない。告知がもっと早ければより多くの乗客を誘導できただろうが、緊急事態の中でよく決断してくれたと思う。 特筆すべきなのは、京都や敦賀での駅員の対応だった。混雑する切符売り場やホームで大きな声を上げ、手元のタブレット端末を操作して客を次々さばいていた。「後続列車の指定券でこの臨時列車のグリーン車に乗れますか」という私の質問に、別の駅員にも確認した上で「大丈夫です、ホームへお急ぎください」と丁寧に答えてくれた。てきぱきとした連携プレーに、鉄道に携わる人間の心意気を見た思いだった。 ☆共同通信・八代到