<独自>モンゴルの“新首都開発”で隈研吾氏ら日本チームの案が採択【WBS】
1206年にチンギス・ハーンが建国した「モンゴル帝国」の首都だったカラコルム。面積で大阪府に匹敵する巨大都市カラコルムを、実は今、再び首都にすることを目指した都市開発計画が進められていて、世界的な建築家・隈研吾さんを中心とする日本チームの提案が採択されたことが、テレビ東京の取材でわかりました。 モンゴルの中央部にあるカラコルム。チンギス・ハーンのモンゴル帝国の首都でしたが、現在は一部の遺跡と少数民族が暮らすだけの平原です。 世界的な建築家である隈研吾さんが日本の企業と合同でこのカラコルムの都市開発に参加したのです。これは将来カラコルムを新たな新首都にすることまで見据えた国家プロジェクトです。 「都市の一部の地域計画みたいなものは任されたこともあり、世界中で依頼を受けていたが、これだけ規模感のあるものは初めて」(隈研吾さん) モンゴルの現在の首都はウランバートルですが、ここにモンゴルの人口345万人のおよそ半数が集中しています。そのため交通渋滞や電力不足などの都市問題が深刻化。モンゴルの大統領の指示のもと、かつての首都カラコルムを新首都にすることを目指して開発する長期ビジョンを公表しました。そこで2030年までにカラコルムに全く新しい都市を作ろうとしています。 今年4月からこの開発プランを世界から募集すると54カ国428チームが応募。国民にも投票を呼びかけ、先月末に国際審査を実施しました。そこで隈研吾さんの日本チームと中国やインドネシア、フランスなど合わせて6つのチームが入賞し、今後6者が共同開発を進めることになったのです。
「僕が一番こだわったのは“環境”。大草原の中に緑に溶け込むような町をつくりたい。なるべく地面に近く低層の都市を目指しました」(隈研吾さん) 隈さんはかつての旧首都カラコルムの地形や自然を生かした町づくりを掲げ、低層の建物を中心に設計しました。 「都市は中心があって求心的な構造というのが、今までの都市の概念だったが、僕らが提案したのは『分散型』『ネットワーク型』の都市」(隈研吾さん) 隈さんのプランでは3つの都市を分散させ、中心を道路で結びます。それぞれの町をビジネスやスポーツ、文化、住空間など目的別に分散させ、ITネットワークで接続する分散型の都市にする計画です。 新首都を見据えた隈さんの開発をビジネス面で支えるのが、「インデックス」の植村公一社長です。これまで多くの官民連携プロジェクトのマネジメントを手がけてきました。 「総事業費は10兆円を超える非常に大きなプロジェクト。モンゴル政府も10兆円を超えるような資金を国として捻出するのは難しい。それだけの資金をどう調達するんだと」(「インデックス」植村公一社長) 植村社長は国と民間の資金に加え、海外から資金を呼び込む官民連携の新たなファイナンスの仕組みも必要になると指摘します。 「上下水道から始まり、最終的に建物を造るが、そこに至るまでの資金と実際の運営、オペレーションとマネジメントをどう企業のコンソーシアムでつくっていくか」(植村社長) 800年前の大帝国の首都が現代に蘇るのか。駐日モンゴル大使のバヤルサイハン氏は期待を明らかにしています。 「時間と資金もかかるが、新しい首都の開発。国を挙げてやっていくべきプロジェクト。新首都カラコルムの町も世界一のスマートシティとして開発するべきと思っている。日本企業、自然環境に優しい技術を持つ企業が参加するいいチャンス」(バヤルサイハン氏) ※ワールドビジネスサテライト