広島県の「おれおれ詐欺」被害額 11月末時点で過去最多 警察官名乗る手口が大半
息子や警察官になりすまして電話をかけ、現金をだまし取る特殊詐欺の一つ「おれおれ詐欺」で、広島県内の年間被害額が11月末時点で4億6754万円(62件)となり、統計が残る2004年以降で過去最悪となったことが県警のまとめで分かった。前年比では6倍近く増えている。 県警によると、昨年1年間の被害は8074万円(27件)。これまで被害が最も多かったのは07年の3億7778万円(183件)だった。 今年1~11月末までの被害62件のうち、警察官をかたる手口が3億667万円(44件)と大半を占めた。11月には70代女性が「渋谷警察署」などを名乗る犯人に4千万円をだまし取られる被害が発覚。「警視庁」「北海道警」「大阪府警」などいずれも県外の警察を名乗る手口だったという。 警察官を名乗る犯人は電話で「あなたの口座が悪用されている」「逮捕される」などと告げた後、「調査するので振り込んで」「保釈金を支払えば逮捕されない」などと現金を要求。ビデオ通話で偽の逮捕状や警察手帳を示す場合もある。 以前は高齢者が中心に狙われたが、今年の被害者は20代~90代と幅広い。被害額は、架空料金請求詐欺や還付金詐欺などを含む特殊詐欺全体(7億8311万円)の約6割を占めた。太田貴之・減らそう犯罪情報官は「誰もが被害に遭う可能性がある。一人で判断せず、家族や警察に相談して」と呼びかける。
中国新聞社