大阪・阪神百貨店地下の立ち食い「スナックパーク」17日に閉鎖 ── いか焼きなどは移設し営業継続
これだけの店の立食スタイル営業は他にない
ちょっと立ち寄ってみようと、11日午前中に足を運ぶと、大勢の人たちでごった返しており、うどんをすする人や粉もんを食べる人など、立ち食い客で随分とにぎわっていた。安くて、早くて、旨い。そんな店舗がそろっており、気軽に空腹を満たせるので、男女問わず、お馴染みさんも多いようだ。 それにしても、「阪神名物・いか焼き」はこの日も相変わらずの長蛇の列だった。男性客の1人に話を聞くと、「今日はたまたま来ました。いか焼きは好きです。このスナックパークがなくなるのは、残念ですわ」と、名残惜しそうに語った。別の中年女性も、「閉鎖されるのは、入り口の営業終了の張り紙を見て知りました。建て替えなら、しょうがないですね」と、話した。 阪急阪神百貨店・フード商品統括部惣菜商品部長の丸山英樹さんは、こう言う。「さみしいって言って下さる方が多いです。百貨店の地下で、これだけたくさんのお店が立ち食いで営業しているのは、他にないでしょう。普通はイスがありますから。営業終了が徐々に浸透していますので、最終日が近づくにつれ、さらに混雑が予想されます」
東京の友達に自慢できたスポット
12日も午前から多くの買い物客らが所狭しと立ち食いで様々な味を楽しむ。早めの昼休みで来たという会社員の男性(33)は「思いっきり食べたい時は、すしを何皿か食べた後にいか焼きを食うて、その後にカレーライスを食べたりした。カレーなんてこないだまで300円でおつりが出ましたし、いま言うたものを全部足しても千円いかないし。東京から来た友達もここへ連れてきて『安くてうまくてすごいやろ』って自慢したりしたけど、当分それができないですね。昭和の雰囲気がなくなりちょっと残念ですわ。また同じもんができるのを期待してます」と寂しそうに語った。 1958年(昭和33年)9月にもとは「阪神軽食堂」としてスタートしたという地下2階の「フードテリア」が昨年3月31日ですでに営業を終えている。このスナックーパークも、庶民の懐や胃袋を助けてくれた大阪らしい雰囲気の漂うグルメスポット、それが消えようとしている。閉鎖までにもういっぺん、気軽に味わえるグルメスポットを堪能してみてはいかがだろうか。 (文責/フリーライター・北代靖典)