【県警70周年】強い警察体現を(7月19日)
県警発足から70年が経過した。1954(昭和29)年の現警察法の施行で、国家地方警察と自治体警察が一本化され、現在の組織が誕生した。社会情勢の変化に伴い、新たな犯罪が次々に生まれ、県民生活の安全・安心を守る役割は増し続けている。たゆみなく防犯体制の強化に努め、強い警察を体現してほしい。 昨年の刑法犯認知件数は約8千件で、2002(平成14)年のピーク時の4分の1に減っている。交通事故発生件数は約3千件で、最も多かった2001年の5分の1に減少した。摘発や取り締まり、啓発活動に力を入れたことが犯罪や交通事故の抑止につながっているという。ただ、新型コロナ禍を経た人流回復により、刑法犯の認知件数、交通事故の死者数は増加傾向を示している。関係機関、団体との連携による抑止対策が求められる。 SNSを使った投資詐欺事件や、緩やかな結び付きで離合集散を繰り返す反社会勢力「匿名・流動型犯罪グループ(匿流)」による犯罪が県内でも顕在化している。犯罪の広域化を受け、県警は「自動車警ら隊」の新設を検討している。所轄をまたいだ強盗や金属窃盗などの広域事案の初動体制を手厚くする。一線署と連携して警察官を集中的に投入し、犯人の早期摘発につなげてもらいたい。
東日本大震災発生直後、警察官は沿岸部で住民の避難誘導に当たり、行方不明者の捜索に尽力した。東京電力福島第1原発事故への対応では、避難指示が出された市町村で防犯活動を続けている。現在の警察官数は3442人で、震災後の採用は4割ほどになる。災害時の対応と教訓を次世代に引き継ぐため、研修の機会を設けるなど組織を挙げた取り組みが欠かせない。 社会的な傾向にたがわず人材の確保も課題となっている。新たに採用試験の会場を東京に設けたり、SNSでの広報活動に力を入れたりするなど工夫を凝らしているが、今後はこうした取り組みを充実させる必要がある。 交番や駐在所の「おまわりさん」は安心感の象徴でもある。人口減少や高齢化に伴う防犯力の低下が懸念されている。祭事などへの参加を通じて住民との交流を深めれば、地域の防犯意識の向上にもつながる。(渡部純)