「世代NO.1左腕」の名を不動にする快投!東海大相模・藤田琉生が甲子園デビュー戦で13奪三振! 速球、変化球にマウンド捌き、すべてが圧巻!
東海大相模の198センチ左腕・藤田 琉生投手(3年)を「世代NO.1左腕」と推す声は甲子園の前から高かった。神奈川大会では最速149キロをマークし、20.1回を投げて、17奪三振、防御率1.77の好投で評価を上げていたのだ。 【一覧】富山商戦の藤田の各イニングの最速と平均球速 そして甲子園初戦、富山商戦で7回を投げて13奪三振、無失点の快投を見せ、チームを勝利に導いた。甲子園での投球は今まで取り組みの成果が発揮されていた。
相手打線の狙いをみて変化球主体の投球に切り替えるクレバーさを見せる
どの選手でも甲子園初戦は難しい。世代NO.1右腕・今朝丸 裕喜投手(報徳学園)は初戦敗退。大社戦で7回途中を投げて、3失点。課題だった立ち上がりで2点を失った。 藤田にその心配は不要だった。富山商打線は速球投手が多い東海大相模投手陣に備えて、対策を行ってきたという。東海大相模バッテリーはその逆を突いて変化球主体で攻めると決めた。 この日投げ込んだのは130キロ前後のチェンジアップ、120キロ台後半のスライダー、110キロ台のカーブ。打者の手元で大きく沈み、富山商打線はほとんどが変化球をミートできず、13三振のうち変化球での三振は11個。もともと変化球の精度が高く、器用さを評価されていた藤田は相手の狙いを見て、変化球主体で三振を奪った。藤田は自身の変化球をこう分析する。 「198センチの長身から振り下ろす変化球は多くの打者は見たことがないので、高く振り下ろすイメージで投げています」 特に打者の手元で減速して大きく落ちるチェンジアップは脅威だ。 リードする木村 海達捕手(3年)は言う。「外に構えると、大きく逃げて落ちていきます。真ん中で構えるとあまり落ちないのですが、止まって見えるので、奥行きが使える。打者からすれば相当打ちにくいボールです」 対戦した富山商の主砲・福田 敦士内野手(3年)は「直球、変化球もいずれも切れがあって本当に打つのが難しい投手でした」と脱帽だった。
オフから取り組んできた二段モーションも猛暑の甲子園を投げ抜く要因に
この試合、東海大相模は1回に1点を先制したが、6回の追加点を挙げるまで点が入らない苦しい試合展開だった。それでも藤田が動じずに投げることができたのは、原俊介監督から表情を変えずに投げる事を薦められ、メンタルが安定していたためだ。また春季神奈川県大会4回戦の桐蔭学園戦では、1対0で完封した実績もあるように、接戦でも崩れる不安はなかった。 また猛暑の中、7回114球、球威が落ちずに投げられたのは二段モーションが大きい。今年から走者なしの場合のみ二段モーションがOKとなり、湘南ボーイズ時代から二段モーション気味で投げていた藤田は、この発表があった2月から二段モーションに取り組んでいた。「並進運動が良くなり、今までより力をロスせず、強いボールを投げることができる」と藤田は手応えを掴んでいた。 課題だったストレートの球威も、初回に最速147キロを計測し、どのイニングでも140キロオーバーの速球を投げ込んだ。平均球速は142.11キロと、藤田の高校時代の集大成が見えた投球だった。ドラフト的にも「世代NO.1左腕」の評価は不動のものとなっただろう。12球団がどう評価するのか、楽しみとなった。 3回戦では強豪・広陵との対戦となる。藤田は9年ぶりの甲子園ベスト8に導く投球を見せることができるか。