「40代の自分が『若手』」 能登半島「複合災害」で介護職が苦境に、目立つ若い人の離職
今は職員のモチベーション低下が課題だと、干場さんは打ち明ける。 「地震と水害の被害で、職員も目の前の現実で手いっぱい。若い人がいなくなり町全体に活気がない。ケア人材も流出。そんな中、どうやって人を支えるか。力が湧いてこないのが現実です」 地震で損壊した建物の修繕が続き、広域避難させた利用者の帰還支援も途上。ケア体制が回復しきっていないところに水害が起き、これまで以上に介護職への支援の必要性が高まっている──。 そう指摘するのは、厚生労働省DMAT事務局災害医療課の上吉原良実さん。輪島市で地震発災時から長期で支援活動を続けている。 「今、前線でケアに当たる方々の危機が感じられます。職員さんの心が折れそうなところを、いかに早く、『水害前』のメンタリティーまで戻してあげられるかが目下の課題です」 上吉原さんは、市の職員と連携を取りながら、被災職員宅の戸別訪問や状況確認など、ケア職の生活再建にも注力しているという。 「2段、3段と復旧を進めていたところに水害が来て、また1段下がってしまった。そんな『後退感』にとらわれて職員さんの士気が下がらないよう、もう一回補強して通常のケアができる環境に戻していくことが大事な局面。その『支え直し』には、メンタルケアも含め、外部の専門家やボランティア人材の力も必要です」 (ジャーナリスト・古川雅子) ※AERA 2024年10月28日号より抜粋
古川雅子