ドラレコ映像改ざんし保険金詐取未遂容疑 父が起こした訴訟で浮上
車で追突事故を起こした後、事故の状況が記録されたドライブレコーダーの映像を改ざんして保険金をだましとろうとしたとして、大阪府警は20日、兵庫県伊丹市野間1丁目の会社役員、猪熊祐斗容疑者(24)を詐欺未遂容疑で逮捕したと発表した。容疑を否認しているという。 交通捜査課によると、事故は昨年11月10日午前9時40分ごろ、大阪市住之江区南港東5丁目の交差点で発生。猪熊容疑者は軽乗用車を運転中、前方の車が赤信号で停車した直後に追突した。前方の車は信号が黄色に変わった段階で減速していたが、猪熊容疑者は現場に来た警察官らに対し、「相手が急ブレーキをかけた」などと主張したという。 逮捕容疑は、その後、運転していた車のドラレコ映像を編集し、事故直前に「黄色から赤」に変わる信号表示を、「青から黄色」に変わる別の映像を使って改ざん。改ざんした映像を同14日に保険会社に提出して保険金を詐取しようとしたというもの。 保険会社は改ざんを見抜けなかったが、相手の過失は認めず、保険金は支払われなかった。 猪熊容疑者は「事故後に警察や保険会社にした説明と実際の映像が食い違っていたので、ごまかすためにやった」と改ざんを認める一方、「保険金をだましとるつもりはなかった」と述べているという。 詐欺未遂容疑の浮上のきっかけは、改ざんを知らなかった猪熊容疑者の父が、事故の原因は信号機の不具合にあるなどとして9月に設置・管理者の大阪府などに損害賠償請求訴訟を起こしたことだ。今年9月、府警が証拠として届いた映像を解析し、改ざんがわかった。(宮坂知樹)
朝日新聞社